なかでも男児と女児の違いが顕著だったのは、アニメ「ストロベリーショートケーキ」と、同じくアニメ「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」の玩具が付いたハッピーミールのボックスだった。
ディスコーラは、次のように説明している。「ストロベリーショートケーキとクローン・ウォーズをテーマにしたハッピーミールは、とりわけ示唆に富んでいた。子どもに投げかけられていた疑問文は、女児向けでも男児向けでもほぼ変わりがなかったが、言葉の微妙な差異が、ジェンダーに基づいた期待の違いを強烈に浮かび上がらせていたからだ」
「ストロベリーショートケーキがテーマになっていた側面の女児向け説明では、『絵を描ける?』と問いかけられている。それに対して、クローン・ウォーズがテーマになっていた側面の男児向け説明では、『毎晩、違うドロイドを描ける?』という問いかけだった。こうした言葉の微妙な差異は、女児が絵を描けない可能性を暗にほのめかしている。一方、男児の場合は、絵を描けることが前提となっており、もう一歩踏み込んで、毎日違う絵を描くことが求められている」
ディスコーラがハッピーミールのボックスをすべて検証した結果、(男児向けより)女児向け説明のほうで、より頻繁に、子どもの能力が問われるケースが多いことが明らかになった。また、女児向け説明では、主体性の低さを示す「やってみる(try)」「推測する(guess)」「待ってみる(let)」「忘れないようにする(don’t forget)」といった動詞が頻出していたことがわかった。対して、男児向け説明ではそれらの動詞が一度も登場しなかったという。
女児向け説明では「やってみよう(try)」と促されていた一方で、男児向け説明では、競争や達成に関係した動詞が多く含まれていた。男児向けでは、「高い目標を持つ(aim high)」「達成する(achieve)」「戦う(battle)」「やっつける(beat)」「つかまえる(capture)」「挑戦する(challenge)」「競争する(compete)」「打ち負かす(defeat)」「速さを競う(race)」「得点する(score)」「勝つ(win)」「支配する(rule)」よう指示が出されていた。女児向け説明で、達成することを促す動詞が使われていたのはたった2回で、「勝つ」と「得点する」だった。
ハッピーミールのボックスの扱い方を指示する言葉でさえ、男児向けの説明では、女児向けよりも複雑だった。女児向け説明では、扱い方に関する言葉は「入れる/出す(pop in/out)」「押し込む/穴を開ける(punch in/out)」「折る(fold)」「付ける(attach)」の4つしか登場しなかった。男児向け説明では、男児のほうがモノを扱うスキルがずっと幅広いことが前提となっており、11種類の異なる指示が出されていた。たとえば、「つなげる(connect)」「外す(remove)」「挿入する(insert)」「組み立てる(set up)」「折る」「包む(wrap)」などだ。
ディスコーラは、「こうした差異は、男児のほうが一般的に能力が高く、より複雑で難しく、達成することを重視した活動に取り組むというステレオタイプを強調するものだ」と書いている。
驚きではないだろうが、攻撃的また破壊的な意味を持つ動詞は、男児向け説明で多く使われており、外見に関係した動詞は、女児向け説明で使われる傾向が高かった。ハッピーミールのボックスで使われているこうした言葉の差異は、一般的なジェンダーのステレオタイプと一致する。