すでにビットコインを含む4種類のデジタル暗号通貨の売買を取り扱えるようにしたPayPal(ペイパル)社に加え、年金運用や投資信託業務を主力業務とするバンク・オブ・ニューヨーク・メロンも、ビットコインや他のデジタル暗号通貨を取り扱う金融業務を行うと発表した。
1980年代後半、日本がバブルだったころには、本業ではなく、土地や株式で会社の資産を運用し収益を上げる「財テク」が流行したが、いまアメリカでは、デジタル暗号通貨のバブルが巻き起ころうとしている。
フェイスブックのディエムに各国が警戒感
すでに5000万ドルの買い入れを公表していたSquare, Inc.(スクエア)社に続き、テスラも、イーロン・マスクが「低金利時代に、現金で持つよりはいいだろう」と15億ドル(約1600億円)のビットコインの買い付けを発表した。
テスラCEOのイーロン・マスクもビットコインの購入の発表をした(GettyImages)
これはつまり、決済機関ではないテスラが、借入金も含めた総資産の「財テク」運用に走っているということである。テスラがボラティリティの高い(価格の上下動が激しい)ビットコイン購入を発表してから、さらにビットコインの価格は30%以上も上昇。その一方で、自社の株価は2月末までに一時30%近く下落した。
現在、主なビットコインで支払いを受け付ける会社として、マイクロソフトがマイクロソフトアカウントでの使用を認めているほか、大手通信会社のAT&Tもビットコインで受け付けている 。
ケンタッキーフライドチキンも、カナダで試験的に特定の商品購入にビットコインの使用を認めた。金融制裁が科されたベネズエラでは通貨安もあり、実際の決済手段としての普及にはまだまだ程遠いが、バーガーキングやピザハットが一時的にすでにビットコインを受け付けるようにした。
ビットコインには、そもそも中央管理者が存在しない。利用者同士が、決済の動きをすべて記録した共通の元帳を相互に公開しながら決済する「分散型=リング型のピアツーピアネットワークシステム」に過ぎない。
国家の破綻も、銀行の倒産も、金融危機や財政破綻が起こることもあり得るのだから、中央に管理者を置かず相互にネット上で管理していれば、むしろその方が安全である、という思想から始まったブロックチェーンの概念が基本にある。