すると観察者は、共感の対象となる人が周囲から好かれていたり、高い評価を受けたりしている場合、共感者に対してより好感や敬意を持った。しかし、共有者が白人民族主義者や予防接種反対派など、嫌われているタイプの人だった場合、観察者が共感者に持つ好感や敬意は低下した。中には、嫌われ者の共有者が共感されるよりも、非難を浴びる方を好んだ観察者もいた。私たちは嫌われ者に同情するよう求められることが多いが、この実験からは、そうすることで常に周囲からの印象がよくなるわけではないことが示された。
これは、共感スキルの使い方についての再考を促し、道徳的・倫理的に問題がある人に共感することで周囲にどのように認識されるかについての広い視点を提供するものだ。それはまた、自分がどのような人を気にかけ、何を大切にしているかを示すものでもある。
共感の目的は性格に問題がある人や不適切な行動を支持することではないものの、画一的なアプローチを取ってしまえばそう考えられる可能性もあることが、この実験結果からは示されている。問題をはらむ仕事上の場面では特に、不適切だったり、違法だったり、非道徳的だったりといった行動を奨励していると思われないようにすることで、共感を示すことのメリットが高まるかもしれない。