AIとロボットを組み合わせた店舗は、中国で「新小売(ニューリテール)」と呼ばれ、スーパーやコンビニなどに広がってきている。美団はさらに、完全自動化された倉庫や配送も統合し、テイクアウトのデリバリー能力を最大限に高めることをめざす。
IT大手テンセントが出資する美団は近年、消費者向けサービスを次々と増やし、ライフスタイル分野全般にエコシステムを拡大している。MAI Shopは今月、2022年冬季五輪の会場となる首鋼パーク内にオープンし、開幕までに本格的な運営を始める計画だ。
MAI Shop では、スナックや飲み物といった各種食品や日用品を販売。客はパーク一帯に表示されたQRコードやアプリを使って注文できる。注文は10元以上(約160円)からで、配送範囲は店から半径3キロメートル以内となっている。
注文が入ると、MAI ShopからAIプラットフォームに準備や処理の指示が出される。すると、店舗内でロボットが自動制御の棚の間を移動して商品をピックアップし、AGVへの引き渡し場所に下ろす。ただ当面は、ロボットとAGV間の受け渡しは人手で行うという。
指定した場所にAGVが到着すると、客は認証コードを入力して商品を受け取る。注文から17分以内での配送を目標としている。10月1日に実施した試験では、ピーク時で無人配送の成功率は95%に達したという。
AGVを使った輸送は、浙江省烏鎮の5Gタウンなど、中国のほかのパイロット事業でも試験されている。ルートはコンピューターではじき出し、車両は歩行者や障害物を検知すると自動で停止する。MAI Shopでは当初は、監視などのために2人を同行させている。
中国のフードデリバリー市場の規模は今年、6650億元(約10兆3700億円)に達する見通しだ。フードデリバリーの普及率が9パーセントにとどまる米国などの先を行っている。
中国は無人型店舗の分野でも進んでおり、今後は5Gの普及によって自動化やAGVの活用に弾みがつき、店舗運営の効率性が向上することが期待される。美団の場合、399万人の配達員を抱えており、人件費の負担は重い。
ただ、無人技術は、投資に見合った利益が得られるかには不透明な面もある。