ビジネス

2020.10.05

AIによる精度99%の「ニセモノ判断」が商品流通にもたらす期待

「いたちごっこ」は、AIが解決することになるだろう

今年8月末、中古品販売のコメ兵(KOMEHYO)が、高級バックや小物などを見極める人工知能端末「AI真贋」を開発・導入するとした。初期には、世界的なラグジャリーブランド「ルイ・ヴィトン」の商品のみ判定が可能だそうだが、今後、対応した商品を増やしていく計画だ。

「AI真贋」が撮影した画像を解析するのに要する時間はわずか数分。精度は99%に達する。海外などから流入する偽ブランド品は増加傾向にあるといい、コメ兵側は市場健全化のためにそれらを排除する手段としてAIを活用していきたいとしている。

いわゆる「偽ブランド」(薬品なども含む)による経済的損失は、世界的に約130兆円にのぼるという統計がある。過去には、「世界貿易総額の2.5%を占めるまでに偽商品取引が膨張している」というOECDが公表した調査報告書もあった。

偽ブランドの流通を排除するという目的のために、専用AIを開発・活用しビジネス展開しようというケースは世界的に増えている。例えば、韓国のMARQVISIONという企業は、ECサイト上における偽商品関連の掲示物発見・申告・削除までを一度に処理できるAIベースの自動化ソリューションを提供している。

MARQVISIONのウェブサイト
MARQVISIONのウェブサイト。あらゆるアイテムに対応している。

ブランドや企業担当者が同ソリューションを使用することで、アマゾン、タオバオ、e-BayなどECサイトで流通する製品を、リアルタイムでモニタリングすることができる。分析対象には、画像だけでなく商品説明・価格・レビューなど「テキスト情報」も含まれる。偽商品と判断された商品はリスト化されブランド担当者の手元に渡る。チェック後、ワンクリックで各ECサイトに通報・削除できるという仕組みだ。

ブランド側にとっては偽製品の損害だけでなく、偽製品の発見のためのリソースやコストを削減することができるし、消費者の被害も効率的に減らすことができる。

思うにAIは今後、商品の真贋判定だけでなく、中古品の価格査定などにも用いることができるだろう。人間の恣意性を排除した適正な値付けは、リユース市場やシェアリングエコノミーにおける商品流通をより円滑にしていくかもしれない。ブロックチェーン技術など、改ざんに耐久性を持つ技術との併用・融合にも期待したい。

文=河 鐘基(ハ・ジョンギ)

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