ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

Photo by Olly Curtis/Future Publishing via Getty Images

向かうところ敵なしのアマゾン。その強さの理由のひとつは、消費者を囲い込んだだけでなく、自分たち単体ではマーケティングができない無数の中小企業を味方につけたことだとよく言われる。

つまり、アマゾンにまったく関係ないメーカーや商店が、同じものを売るアマゾン本社と同じアマゾンのサイトで呉越同舟するという、それまでになかったビジネスモデルが、消費者に圧倒的な利便性(価格の比較など)を与え、それが多くの支持を得たのだ。

同社が「マーケットプレイス」と呼ぶ、2000年に始まったこのプラットホームビジネスには、本国のアメリカだけでも100万社以上の中小企業がEコマースとしてぶらさがり、これによって90万人分の雇用が生まれ、さらにこのなかの2万社はマーケットプレイスで1億円以上の売上を上げている。

高まるアマゾンの「場所貸し」の責任

ところが、このビジネスモデルは、近年、訴訟リスクが高まるようになり、アマゾンのアキレス腱となってきていた。すなわち、開かれたプラットフォームであるがゆえに、中小企業が自由に参入するため、偽物ブランドを売りつける悪質業者があとを絶たないのだ。

アマゾン側の参入審査はあるが、出品物を全部チェックすることは不可能だ(日本でも去年、人気コミック「ゴールデンカムイ」最新刊の海賊版がキンドルストアで販売されていることを出版元が見つけてアマゾンに連絡するという事件があった)。ただ、偽物をつかまされた消費者は、マーケットプレイス保証という制度を使い、申請によって返金を受けるので、損はしない。

ところが、偽物を売られている元の会社は間接的な被害を受けている。得られるべき商機を失うし、違法な競合商品によって価格を押し下げられる。さらに、偽物と気がつかない人を中心に、自社製品の品質が低く認識され、ブランド力が下がる。

また、元の会社自身がアマゾンに出品しないかぎり、偽物があたかもホンモノのようにサイト内で扱われることのコストも忘れてはならない、とロサンゼルス・タイムズは報じている。

「例えてみれば、あるハンドバッグを緑色の仕様で売り出したいと思い、広告宣伝に投資しているのに、よくできたニセモノとは言え、赤色のバージョンをアマゾンに載せられるのは二重の意味で最悪だ」ということだ。あるいは、「もっと安く売られているのに(偽物とは気づいていない)、高く売りつけられた」と、顧客の不満も不当に膨らむ。

偽物ブランドの販売はもちろん法律違反であり、アマゾンも厳しい態度で臨んでいる。とはいえ、それだけでは元の会社は収まらない。彼らの言い分は、場所を貸す方、すなわちアマゾンにも一定の責任があるというものだ。

ところが、場所貸しの責任までは負えないということは、アメリカではほぼ判例として固まっている。古くは、2010年に、オークションサイト世界最大級のEbayが、偽のティファニー製品の売買を見過ごしたとして訴えられたケースがあったが、上級審でEbayの無過失が確定している。

文=長野慶太

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