ウォルマートは、9月20日までにTikTokを買収しようとしている。これは、オラクルをはじめとする複数の企業に続く動きだ。9月20日というのは、米国の企業や個人がTikTokと取引することを禁じる、トランプ大統領による大統領令が発効する期日だ。
TikTok買収への参加の意向が発表されてから2日間で、ウォルマートの株価は7%以上急騰した。
UBSのアナリストを務めるマイケル・ラッサー(Michael Lasser)は、最近の投資家向けリポートで、ウォルマートのTikTok買収参戦は意外な選択ではないと指摘している。ウォルマートにとって、デジタル・マーケットプレイスを構築し、広告事業のテコ入れを図ることが最優先事項の1つだから、というのがその理由だ。特に、eコマース大手のアマゾンと互角に渡り合おうとする上では、この2点が重要になる。
「(ウォルマートは、)急成長中のソーシャルメディア・プラットフォームのリーチを活用することで、広告主やサードパーティーの販売業者とのつながりを構築できる」と、ラッサーは指摘する。さらにウォルマートは、TikTok買収によって、若年層の消費者に対する「貴重な」エクスポージャーを獲得できるはずだという。
より多くのZ世代(おおむね2000年以降に生まれた世代)の顧客にアピールしたいと望むウォルマートの戦略において、TikTokは重要な位置を占めることになるはずだとUBSのリポートは記している。Z世代の若者が「消費額がピークに達する年代に入りつつある」なかで、「より若いオーディエンスとつながりを持つこと」が重要になるというのだ。
8月26日に辞任を表明したTikTokの最高経営責任者(CEO)ケビン・メイヤー(Kevin Mayer)の後任として、暫定CEOを務めるバネッサ・パパス(Vanessa Pappas)も、TikTokとウォルマートのあいだにeコマース分野における「シナジー」が存在することを認めている。
パパス暫定CEOは8月28日、CNBCとのインタビューで、「我々は最近、eコマース関連機能の導入に特に力を入れている」と述べ、この点がウォルマートとTikTokの共通の関心事であると説明した。