ニュージーランドなど、国内のウイルス拡散を食い止めたと思われていたのに数週間後、再びウイルスの流行が確認された国もあれば、驚くことに新型コロナウイルスの症例が1件も報告されていない国もある。新型コロナウイルス感染症が発生していないとされるものの疑わしい国は、独裁国家のトルクメニスタンと北朝鮮だ。
両国は否定しているものの、評論家はどちらの国でも新型コロナウイルス感染症が存在していると考えている。ただ、国内での実際の状況を確認する方法はない。トルクメニスタンでは、新型コロナウイルス感染症と見られる症状を示し死亡している人が散発的に報告されているものの、同国政府は沈黙を保ったままだ。
北朝鮮の金正恩総書記は7月末、新型コロナウイルスと疑われる症例が出たことにより国境付近の開城(ケソン)市を3週間封鎖したが、それも現在では解除され、国営メディアは結果についてコメントを控えている。
金総書記が4月は公の場に現れなかったため、北朝鮮は新型コロナウイルス危機に見舞われているといううわさの信ぴょう性が高まったが、金総書記は20日後に肥料工場の完工式で元気な姿を見せた。専門家らは、北朝鮮で新型コロナウイルス感染症が発生していないことを疑問視しているものの、同国の孤立状態が現在メリットになっている可能性は十分にある。また、早期の対策(北朝鮮は早くから国境を封鎖した国の一つだった)を取ったことによるウイルスの抑制効果もこれまで証明されてきた。
北朝鮮とトルクメニスタン以外に、2020年8月24日時点で新型コロナウイルス感染症の発生が報告されていない国は全てが南太平洋の島国で、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、ナウル、キリバス、ソロモン諸島、ツバル、サモア、バヌアツ、トンガの10カ国だ。ここでも孤立が大きなメリットとなっているが、ウイルスが存在していないからといってこうした島国がその影響を逃れたわけではない。
こうした国の多くは観光業に依存し、海外からの訪問客がないことでビーチやホテルには人影がなく破壊的な影響が生じてきた。この地域の一部の政府は、ニュージーランドやオーストラリアなど安全な国との航空便を9月1日までに再開することを望んでいたが、ウイルスの再燃により現時点ではその計画も棚上げになっている。
パラオは現在、新型コロナウイルスを封じ込めている台湾との航空便再開を検討しているが、状況が流動的であることからまだ全くの未定だ。