新型コロナと共に拡大する「いきすぎた同調圧力」との付き合い方

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2. 思考停止する


一致団結し、皆のコンセンサスを大事にしながら物事を進める考え方は、日本の美徳でもあり個人的に好きである。しかしながら緊急時においては、この同調を尊重する姿勢がいきすぎることにより思考が停止してしまう危険性がある。

例えば、新型コロナウイルスが流行した早い段階で、棚から消えてしまったトイレットペーパーがいい例だ。新型コロナウイルスの危険性を感じてから、急にトイレが近くなるのだろうか。どのお店でもしばらくの間、トイレットペーパーを入手するのが困難になった。

少し立ち止まって考えれば、「買い溜め」は必要ないとわかる。しかし、人々が不安に煽られ、「みんなが買っているから、自分も買わなきゃ」と開店前のドラッグストアに並んででも手に入れるようとする。その結果、本当に必要な人に届かない現実に直面した。

不安定な状況だからこそ、周囲に流されるのではなく、少し立ち止まって考えることも重要だ。


スーパーにて撮影(2020年3月17日)

3. 安易に他者を批判したり攻撃したりする


正解がない、100%予防する手段がないなか、判断は私たち一人ひとりに委ねられている。英国でも、7月4日にロックダウン(外出自粛措置)が解除された以降、商店やレストランも営業を再開し、少しずつ人々の生活は平常時に戻りつつある。それでも私は、以前ほどは積極的に外出することもなく、週に1、2回、生鮮食品を買いに八百屋さんや魚屋さんに行く、友人と食事をする際も誰かの家でホームパーティを企画するなど、意識的に外出を避けるようになってしまった。

スーパーマーケットには長い人の行列ができている。待ち望んだパブや飲食店の再開後は、たくさん人々が食事を楽しんでいる。8月3日にはEat Out to Help Out Scheme(外食補助キャンペーン)が施行され、8月中の月、火、水曜日は登録された飲食店での食事代の半分を、上限1人£10まで政府が負担してくれる。各店舗もしっかり2mの間隔を維持できるようソーシャルディスタンスを徹底した対策を講じている。


英国のEat Out to Help Out(外食補助)Getty Images

外出自粛が緩和されつつあるなかも、人によっては一歩も家から出ず、食料品から日用品まですべて宅配サービスを利用している。中には宅配されてきた段ボールに消毒液を吹きかけるほど、いまだに徹底している人もいる。そういう人から見たら、私の週1~2の外出ですら、極めて軽率な行動に見えているのではないか。

しかし、自分と違う行動をとる他人を批判したり攻撃したりしたらきりがない。ましてやテレビで見る人やネット上の著名人は直接は知らない人がほとんどだ。私は自分の行動が100%正しいとも思わないし、誰のことも擁護しない。

ただ、これ以上ネガティブな気持ちにならないために、余計なエネルギーを消費して免疫を下げないために、必要以上に他人の行動を批判しないし、一方的に他者を攻撃するニュース記事を安易に受け入れないようにしている。
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文=蓮見勇太

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