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2020.07.07

人工知能が人間投資アナリストを超える日

チダナンダ・カチュア エキュボット最高経営責任者(CEO)


人間の脳は同じペースで進化できない


昨年、エキュボットのソフトウェアは、オメガ3脂肪酸が含まれる処方箋ダイエット・サプリメントを製造するアイルランドの医薬品メーカー、アマリンが話題になっていることを察知。外国株ETFは3ドル割れの株価でアマリン株を購入。その後、当局の承認が得られたことにより、アマリンの株価は15ドルまで急騰した。他にも、チェーンストアの閉店がクレジットカードの取扱量増加に繋がることを探り出し、国内株ファンドにビザ(Visa)を組み入れた。

エキュボットにとって、IBM研究所など大手ライバルもいるが、それと同様に重大な脅威になるのは、カチュアによって仕事を奪われようとしている人間のアナリストたちだ。アナリストは医薬品の臨床試験動向を把握することもできれば、アマゾンがキャッシュレス決済しか受け付けないことに気づくこともできる。それでも、デジタル化されたデータが爆発的に増加し、それに合わせてチップの処理性能も進化していることは、エキュボットにとって追い風だ。人間の脳は同じようなペースで進化することができない。

エキュボットの最高執行責任者(COO)アーサー・アマドールは語る。「現存するデータの90%は過去2年間に生み出されたものです。2年後もそれは変わらないでしょう」。


チダナンダ・カチュア◎エキュボット最高経営責任者(CEO)。40歳のとき、ビジネススクールのクラスメート2人と創業。サンフランシスコを拠点とする少数のスタッフとインドのバンガロールにいる17人のプログラマー及び統計専門家を率いている。

文=ウィリアム・ボールドウィン 写真=ティム・パネル 翻訳=松永宏昭

この記事は 「Forbes JAPAN 5月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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