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コアラのマーチ

キャラクター大国ニッポンと言われて久しいが、世界に羽ばたく超人気キャラクターはごくわずか。「コアラのマーチ」をはじめ、キャラクター制作・運営を手がける、いとうとしこ氏の近著『売れるキャラクター戦略』(光文社新書)から、なぜ「コアラのマーチ」が長寿キャラクターになったのかを紹介する。


「コアラのマーチ」キャラの知られざる設定


キャラクターを世の中に発信する際は、外部に発信しない内容であっても決めておいた方が良いことがあります。名前、想定年齢、性格、好み、口ぐせなどです。

これらを、一つでも多く設定しておいた方が、キャラクターの見え方に一貫性や人間らしさが生まれ、見る人との心理的な絆が深まります。

コアラのマーチのプロジェクトでは、すぐに「コアラのマーチくん」と「コアラのワルツちゃん」のプロフィールを作り、それを履歴書のようなデザインのシートに仕上げて、コミュニケーションやデザインに関わる関係者の間で共有しました。

たとえば、コアラのマーチくんの年齢は「人間に換算して9才ぐらい」。性格は「ほのぼの、のんき。自然と友だちを愛する、やさしい性格。やや天然」。コアラのワルツちゃんも年齢設定は同じ。性格は「かわいくって、とってもスイート。たま~に辛口だけど、悪気はない。ややお姫さま」となっています。

コアラのマーチくんのもともとのキャラクターデザインはすでにお菓子のパッケージやビスケットの上に存在していました。

では、私がプロジェクトに関わるようになって、もっと愛されるためにどうしたか。コアラのマーチくんに「天然ボケ」で「失敗しやすい」という設定を作ったのです。

たいていの子供向けのお菓子と同じく、商品自体のターゲットは小学生と、実際に購入する小学生の母親たち。その子たちに共感され、時には真似されやすいダジャレ系や、くりかえし系の言葉を連発するという設定にしました。

たとえば、マロン味の商品が出た時のCMは、コアラの鼻が大きな栗になって「びっくり栗~」とのんきに驚くというストーリー。また、プリン味が出た時は頭にプリンをのっけて、自分もプリンのようにプルプルしながら「プリンプリン~」と言うストーリーにしました。

当時、宣伝部の方に教えてもらった話によると、初期のCMをまとめて流して小学生に見せたら、一番人気が高かったのはバナナ味の企画だったそうです。

内容は、バナナをコアラのマーチくんがそのまま頭にのせて「ちょんまげ~」と言い、次にバナナを食べてから皮だけを七三のような形にして頭にのせ「シチサン~」と言うCMです。

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Getty Images

ここで、私の誤算がありました。七三は子供でもわかると思っていたのですが、子供は全くわかっていなかったと。しかし子供たちに大ウケしたのは、キャラクターが「オジサン~」と言っているとみんなが勘違いしたからでした。

この企画では、冷や汗をかきましたが、このように表現のパターンができていると共感が取りやすいのです。少しベタな表現をすることも、長寿の秘訣と言えます。

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