試験にはまず25人が参加。50歳以上の感染者が大半を占めるが、もっと若い医療従事者も加わっている。医療従事者は高い感染リスクにさらされており、感染した場合の早期検出につなげたい考え。被験者は順次増やしていく方針だ。
端末は毎日24時間、病院でも自宅でもつけておくことができる。せきの激しさや呼吸音、心拍数、熱などを常時計測・分析し、データは最終的に医療スタッフに送られる。今後、血液中の酸素濃度も測定できるようにする計画もある。
端末は、もともとはノースウエスタン大とシカゴのリハビリ研究施設「シャーリー・ライアン・アビリティーラボ」の研究チームが脳卒中からの回復途上にある患者の嚥下(えんげ)障害や言語障害をモニタリングするために開発したもの。新型コロナウイルス危機が起きたため、胸壁の動きやせきといった、コロナウイルスが引き起こす症状に特有の振動などを計測できるように急きょ仕様を変更したという。
ワイヤレスでデータ転送
開発を率いたノースウエスタン大の医用生体工学者、ジョン・ロジャーズがデータの集め方や送り方を説明してくれた。
「柔らかいフレキシブルデバイスで、ばんそうこうによく似ています。鎖骨のすぐ上の、喉の柔らかいところに貼りつけます。つけている感じはしないでしょう。私もいま装着していますが、まったく気になりません」
「データはすべてメモリーモジュールに保存されるように設計しました。患者は装置を(毎日)剥がし、充電パッドの上に置きます。するとデータがiPadにワイヤレスで送信され、さらにiPadから安全なクラウドストレージに送られます」
ロジャーズによれば、この端末は聴診器のようなものだという。「マイクじゃありません。四六時中、会話を記録されたい人なんて、まずいませんからね。この装置は環境音には反応せず、会話はまったく拾わないんです」
端末はデータポートやスイッチ、取り外し可能なバッテリーなどが一切なく、完全に密閉・防水仕様なので、消毒するのも簡単だ。ロジャーズによると、容器のアルコールに浸し、後はガス殺菌にかければよいという。