オンライン完結型の出資や無利子貸付など、注目の取り組み
新規のファンド設立以外にも、資金調達に関する斬新な取り組みを行い、スタートアップをはじめとする企業への資金支援をサポートしている会社が確認できた。
(1)ANRI
オンライン完結型の投資を開始。同社では、今年3月に開始した即決投資プログラム「ソクダン」を通じて既に投資実行に至ったケースもあり、オンラインでしか接点がない起業家にも積極的に投資を進めていく方針だ。
(2)商工組合中央金庫
コロナ危機を受け、商工中金の全国約100支店において、中小・小規模事業者に対する実質無利子貸付の相談を受付。
(3)マネーフォワードシンカ
ベンチャーキャピタルとスタートアップ企業のオンライン資金調達相談のマッチングを開始。2020年3月4日時点で、参画するベンチャーキャピタルは20社を超えた。
オンライン完結型の出資を実施したり、ビデオミーティングを活用した資金調達相談を開催するなど、今後の新たな資金調達の形を模索し、変革をもたらす可能性を秘めている取り組みも多く行われている。
「コロナ危機」を乗り越えるために
近年は、スタートアップが出資元を選べる時代になったともいわれていた。スタートアップがコロナ危機を乗り越えられるための支援が加速しているとはいえ、社会状況を鑑みて、依然として、投資に慎重になっているVCも多いだろう。
世界に目を向けてみる。日本経済新聞によると、2020年1~3月の期間において、世界のCVC投資額は前四半期比で13%減の340億ドルに留まった。投資件数は1337件で、前四半期比19%減、前年同期比24%減となった。
しかし、国際的に経済成長と投資が鈍化する中、希望を感じられるデータもある。
現在のFortune 500に選出されている企業のうち、半数以上が不況や弱気市場で生まれたというのだ。また、2007〜2009年の不況期に、50社以上のユニコーン企業が創業されたという事実も驚きである。
革新的なサービスや製品を提供し、人々の暮らしを飛躍的に向上させる可能性を秘めている企業こそが、スタートアップだ。今後の不況が予想される今だからこそ、スタートアップに対する支援を拡大しているVCと企業が多いといえるだろう。
今後もSTARTUP DB編集部では、公開情報を元にスタートアップエコシステムの実態に迫っていきたい。