話題の、同社が独自に設置するという新型コロナ検査対策「テストラボ」についても書かれている。(原文はここから)
新型コロナ検査拡大のための「専門プロジェクト」
手紙は、「新型コロナ検査拡大のために動き始めています。リサーチ・サイエンティスト、プログラムマネジャー、エンジニア、調達スペシャリストたちを通常業務から解放し、新型コロナ検査のより多く実現するチームを組織しました」と述べた後、「アマゾン救済基金」についても触れている。2500万ドル(約27億円)を投資して立ち上げた、個人経営の宅配業者やドライバー、そして一時雇用の社員支援のための基金という。
また、「不当な値上げを上げていると思われる」コロナ関連商品50万品目以上をカタログから落としたほか、アマゾンが掲げる公正価格取引のポリシーに違反する6000以上のアカウントを停止した、と書かれている。
またベゾスはAWS(アマゾンウェブサービス)についても、この状況下の活用状況を強調する。
「病院、医薬品会社、研究機関などが患者対応、治療法の開発、影響緩和対策のためにAWSを使用しています。教育機関もオンライン授業へのシフトに活用しています。また、政府機関も新戦略立案のためのプラットフォームとして AWSを活用しています」
日本のアマゾン・アレクサに言及
興味深いのは、アマゾンが独自に開発したAIスピーカー、アマゾン・アレクサについての一節に、日本のアレクサチームの貢献が書かれていることだ。ある特定の国の貢献が株主レターで言及されるのは珍しいことともいう。
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手紙によればアマゾン・アレクサの開発チームでは、このたびCDCガイダンス(新型コロナに関する米国のガイドライン)に従い、米国内のカスタマーが『コロナウイルスにかかっているリスク』を測れる機能を実装した。
たとえばカスタマーが『アレクサ、私はコロナウイルスを持っている?』や『アレクサ、もしコロナウイルスに感染していたらどうしたらいい?』といった質問を投げるとする。それに対してアレクサは、その人の症状や、感染リスクに関した質問をし、さらにそこに返されたカスタマーからの返答によって、CDCガイダンスに沿ったアドバイスをするという。そして「日本でも、厚生労働省のガイダンスに即した同様のサービスを開発」したと記す。
ベゾスは米国のあの有名な絵本作家の言葉を引用した上で、株主への手紙を結んでいる。
「よくないことが起きた時、人には3つの選択肢がある。振り回されるか、壊されるか、あるいはそれを糧に成長するかだ」(ドクター・スース(セオドア・スース・ガイゼル))。
──私が、世の中の皆さんがどの選択肢を選ぶかについて非常に楽観的であることをお伝えしておきます(ジェフ・ベゾス)。
「インターネット史上もっとも有名なレター」も
ベゾスは株式公開後初、1997年の「株主への手紙」を、毎年の手紙の末尾に添付し続けてきた。もちろん23回目の今年も例外ではない。
それは、アマゾンが売上838%アップの1億4780万ドルを達成した該当年がインターネットの「Day 1(デイ・ワン)」であり、アマゾンにとっての「デイ・ワン」であることが記され、「顧客への執着」と「市場におけるリーダーシップへの固執」が強調されたあの「インターネット史上もっとも有名なレター」である。