ビジネス

2020.03.24 19:00

誰かの成功事例には意味がない。イノベーションを自分の内側から見つける思考法


文字を使わず、絵や音による表現


1つ目の「共感」と2つ目の「創造」。ここまでは皆さんのなかにあるものを引き出す段階です。

次にやるべき3つ目の要素は、「表現」です。創造の段階でアイデンティティを掘り下げて、感じたものを、社会に表出していくために、第三者でも理解できる形に「表現」するのです。

私が行うワークショップでは、まず文字を使わずに、絵や音で表していきます。これは、創造で得られる理想の感覚を、ありきたりのフィルターを通してつまらないものにしないためです。文字での表現は、すでにある言葉のなかから似たようなものを探し、感覚に当てはめていくものですが、絵や音を用いることで、言葉にはない表現をしていくのです。

創造を理想の感覚で終わらせずに、具体化した表現で社会に展開していくには、かなりのパワーが必要になります。

社会は、ますます複雑化してきています。ミレニアル世代やZ世代は日々成長し、さらに次の世代が来るべき社会をつくっていきます。年齢も性別も国籍もなく、多様な考え方が混在しながら変化していきます。

ですから、表現したものを、まずは市場に出していくことが重要になってきます。じっくり検証しているうちに、時代は目まぐるしく変化してしまうからです。テクノロジーも取り入れながら、さまざまな表現方法を駆使し、モチベーションを減速させずに、理想の感覚を形づくることが重要になります。

いくつも表現を重ねながら、発展させ、理想の感覚を具体的に膨らませていきます。そして、仲間とディスカッションしながら、好きで没頭できるか、心地よさを感じるかを判断の基準とし、社会に出していくための表現のアイデアをつくり上げていきます。

その際に大切なのは、自己中心的でないということです。周囲の人たちや社会からも共感を持たれるかが大切です。

開放された妄想力が要求される


そして最後の要素は、「発散」です。表現で具体化したアイデアを外部の目に触れさせ、その反応からさらに磨きをかけていく作業です。

発散のプロセスでは、開放された妄想力が要求されます。まだその感覚に出会っていない人にとって、このワクワク感は驚きであり、感動というギフトを与えてくれます。自分の感覚に、誰が共感してくれるのか、その人はどこにいるのか、どうすればそこに辿り着けるのか、こういった妄想を限りなく膨らませていくのです。
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文=松永エリック・匡史 構成=細田知美

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