新型コロナウイルスの感染拡大を受け、宇宙開発企業がロケットの打ち上げを延期する動きも起きているが、スペースXは計画通り打ち上げを進めている。
小型衛星を搭載したファルコン9ロケットの打ち上げは、フロリダ州ケープカナベラルの発射施設で実施された。ロケットの1段目は、打ち上げから9分後には大西洋上のロケット回収船「Of Course I Still Love You」に着陸し、回収されるはずだったが、このミッションは失敗した模様だ。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、フランスのロケット打ち上げ企業Arianespaceは先日、打ち上げの延期を発表していた。NASAも従業員らにリモートワークを義務づけている。そのような状況下に関わらず、スペースXは予定通り打ち上げを行い、衛星を軌道にのせることに成功した。
同社が今回打ち上げた60基の衛星の重量はそれぞれ約260キロで、地上から約290キロの軌道に送り込まれた。衛星は今後、イオンスラスタと呼ばれるエンジンの推力を用い、数カ月をかけて、地上から550キロの軌道に上昇していく。
一部の天文学者らは、スターリンクの小型衛星が「光害」問題を引き起こすことを懸念している。スペースXの小型衛星は光を反射して明るく輝くため、天体観測を妨害すると天文学者らは述べている。
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の科学者らは先日、スターリンクのような巨大な衛星コンステレーション(衛星の群れ)が、天体望遠鏡を用いた観測に重大な影響を与えるとのレポートを発表していた。
しかし、イーロン・マスクはこれらの訴えに対し「スターリンクの衛星が天文学に影響を及ぼす可能性はゼロだ」と述べた。「私は当社の衛星が、天文学の研究にいかなる悪影響も及ぼさないことを確信している」とマスクは話した。
一方、一部の天文学者らは既に、スターリンクの衛星が放つ光が観測活動を妨害したと指摘しており、宇宙ゴミの問題にもつながると述べている。
そのような懸念に関わらず、スペースXは大規模な衛星コンステレーションの完成に向け、急ピッチで打ち上げを進めている。同社は年内に軌道上の衛星の数を1500基まで増やし、スターリンクによる衛星インターネット接続サービスを、米国とカナダで利用可能にする予定だ。
スペースXは将来的に、4万2000基にもおよぶ衛星を打ち上げ、地球上の全ての地域に衛星インターネットを提供しようとしている。