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chainarong06 / Shutterstock.com

デジタル化の浸透により、顧客らは企業に対し以前にも増して、迅速な対応を求めている。このトレンドに沿うかたちで、顧客対応にチャットボットなどのテクノロジーを導入する企業が増えているが、それが必ずしも成果に結びつくとは限らない。

電話対応の代行サービスMoneypennyが行った調査によると、顧客からの問い合わせで最も多いのが電話によるものだと答えた企業は56%で、あらゆる業界で電話による問い合わせが増えているという。

一方で、ワッツアップなどのテキストメッセージによる問い合わせが最も多いと答えた企業は20%台だった。消費者はデジタル時代の今も、人間と話すことを好むようだ。

MoneypennyのCEOのJoanna Swashは、「今回の調査は、テキストメッセージやチャットの人気が高まる中でも電話が最も好まれていることを改めて証明した」と語る。

多くのスタートアップ経営者も、それを肌で感じている。「Just Move In」は引っ越しに伴う住所変更の連絡や住宅関連サプライヤーの仲介を行う企業だが、引っ越し業者が顧客との連絡に用いるツールは、今も電話が中心だという。

共同創業者のRoss Nicholsは「我々の業界では、顧客からSMSやEメールで連絡を受けた場合、すぐに電話で連絡をとるのが基本だ。それ以外の問い合わせも多いため、電話が鳴ってから30秒以内に出るように心がけている」と話す。

同社のサイトには、チャットによる問い合わせ窓口も設置している。しかし、引っ越し作業は煩雑な業務で、顧客の疑問も多い。

「多くの質問に対する答えをチャットで得るのは簡単ではない。そのため、電話で直接話すほうが好まれる。電話は我々にとって有益だ」と彼は説明する。

英国のガーデニング関連の企業「Jacksons Fencing」でも、問い合わせは電話が多い。1947年創業の同社は、この分野のベテランぞろいの営業チームが対応を行う。

社長の Peter Jacksonは「我々のスタッフはどんな問い合わせにも答えられる。個々の問い合わせに最適な対応をするためには、担当者が商品やサービスを熟知していなくてはならない」と語る。

同社では、営業時間中は誰かが必ず電話に出られる体制を組み、営業チームの手が空かない場合は他の社員が応対する。「電話が鳴っているのに何もしない社員は要らない」と社長は言う。

同社では過去にチャットボットも試験的に導入したが、ボットは人間には勝てないと判断した。

「実際に話すことで、思いもよらない重要な情報を得られるかもしれない。我々はカスタムメイドの製品を提供しているため、チャットボットでは対応が困難だ。丁寧に対応することで、問い合わせを購入につなげることができる」

チャットボットに機械学習を行わせることで、デジタルな顧客サービスも進化している。しかし、人間との自然なやり取りをボットが再現できるかどうかには疑問が残る。

MoneypennyのCEOは、「簡単な問い合わせがウェブでできるようになった今だからこそ、電話の価値が高まっている。購入を決めている顧客は、電話で手っ取り早く質問に答えてもらったり、日程を調整したりしたいものだ」と述べた。

編集=上田裕資

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