台湾経済研究所のアナリスト、Darson Chiuは「マスク市場は今後さらに拡大するポテンシャルを秘めている」と述べた。
台湾政府の経済部工業局のYang Bo-kenによると、台湾のマスクメーカーの生産キャパシティは1日あたり190万個程度だったが、2月9日以降は320万個から4000万個程度を目指し、増産を開始したという。
人口約2300万人の台湾の感染者数は現時点で32人とされている。台湾政府は当面の間、マスクの輸出を禁止し、転売を防ぐため購入を実名制にした。国民は全国約6000カ所にある健康保険特約薬局で、健康保険証を提示すれば7日間おきに2枚のマスクを購入できる。
台北に本拠を置くKNH Enterpriseは今年、年初の数週間だけで2019年の半分のマスクを出荷したという。KNHは既に、新型コロナウイルスの感染拡大がやんだ後を見据えて、新たな製品の開発を進めている。
同社の担当者によると、消費者はつけ心地の良いマスクを求めており、色つきのマスクの需要も高まっているという。さらに、PM2.5などの空気中の有害物質に対応する高機能マスクも求められている。
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KNHは今年に入り、PM2.5に対応するカップ型マスクの販売を開始した。さらに、動物の絵柄がプリントされた子供向けマスクも用意している。PM2.5対応のマスクは2年間の研究期間を経て発売されたが、8日間で売り切れた。
同社の株価は年初から76%の上昇となっている。台湾のリサーチ企業Quantum Internationalは、アジアの消費者の間で今後、ファッション性の高いマスクや高機能なマスクへの需要が高まると予測している。
KNHは台湾政府が輸出規制を解除し、日本への輸出が可能になることを望んでいる。「アジア地域でのマスク需要は、今後も高まっていく。この状況は当社のビジネスの追い風となる」と同社の担当者は話した。