歯に衣着せぬコメントも、度々メディアから注目を集める彼が手がけてきた事業と功績を振り返る。
現代のヒーロー、アイアンマン
映画『アイアンマン』でロバート・ダウニー・Jr.が演じた主役のトニー・スタークは、巨大軍需企業「スターク・インダストリーズ」の社長。アイアンマンは「マーベル・コミック」が刊行するアメリカン・コミックが原作となっている。
天才発明家のスタークは、自身が開発したパワードスーツを着用し、スーパーヒーロー・アイアンマンとしてテロリストと戦う。アイアンマンは、マーベルのヒーローが集結した12年公開の映画『アベンジャーズ』にも登場する。
インターネット事業や宇宙開発事業を手がけるイーロン・マスクの姿がアイアンマンと重なり、ファンの間では話題になっていたという。同作品の監督、ジョン・ファヴローは、マスクから主人公スタークのインスピレーションを得ていることを認めている。
10年公開の『アイアンマン2』では、マスクがカメオ出演を果たしたことでも話題となった。
ペイパル創業者、イーロン・マスク
映画のヒーローのモデルともなったマスクの功績は、1995年に設立した、ソフトウェア事業を展開する「Zip2」から始まる。ニューヨーク・タイムズ紙のオンラインサービス化などを手がけた後、コンパックが3億ドルで同社を買収。その資金をもとに、99年には「X.com」を設立。後の「ペイパル」となる。
ここでマスクは、ネット決済の仕組みを変える事業を立ち上げる。電子メールアカウントとクレジットカードで支払いを完了させる電子決済サービスだ。ネット決済の手間を一気に軽減させることに成功させ、ペイパルは大きく成長した。
02年にネット通販、オークション会社の「eBay」が15億ドルで買収し、この資金を元にマスクは更に別事業を立ち上げる。
人類の火星移住を目指す
02年には宇宙開発事業を手がける「SpaceX」を、03年には電気自動車の製造販売会社「テスラ」を設立。
テスラは、バッテリー搭載が必要になるためにボディのスリム化が難しかった電気自動車に、ノートPCのバッテリーを搭載することでスリム化を実現。デザイン性の高い電気自動車のロードスターを発表し、電気自動車のイメージを一新した。
SpaceXは06年にNASAと提携、10年には民間企業として初めて宇宙ステーションへの物資輸送に成功。自社でエンジンを製造し、低コスト高品質のロケット開発を成し遂げている。日本では、前澤友作が同社が目指す月周回旅行の最初の搭乗客になることが話題になった。
06年には、従兄弟のリンドン・リーブと、テスラの子会社にあたる太陽光発電会社「ソーラーシティ」を設立。現在も同社の会長を務めている。
ここでは、二酸化炭素排出を減らすことで地球温暖化の進行を遅らせ、マスクの兼ねてからの夢である「人類を火星に移住させる」ための時間を稼ぐことを目標に掲げている。