フェイスブック「顔認証訴訟」で600億円の和解金支払いへ

Photo by Chesnot/Getty Images

フェイスブックは、顔の生体認証データをユーザーの同意を得ずに収集したとして、集団訴訟を起こされていたが、同社は1月29日、この訴えに対し5億5000万ドル(約600億円)の和解金を支払うことで合意に達したと述べた。これはプライバシー関連の訴訟の和解金としては、過去最大の金額だ。

今回の訴訟ではフェイスブックが、2008年にイリノイ州が定めた「バイオメトリック情報プライバシー法」に違反したとされた。この法律は、企業が利用者の同意なく生体認証データの収集を行うことを禁ずるものだ。

原告団はフェイスブックが顔のタグづけ機能のために、face printsと呼ばれるデータセットを、違法に収集していたと指摘した。弁護団によると、原告らは一人あたり200ドルかそれ以上の和解金を受け取ることになるという。

今回の訴訟は米国において唯一、生体認証に絡むプライバシー法を定めているイリノイ州で起こされた。

フェイスブック側は同社のオペレーションに非はなかったとの見解を示したが、今後は生体認証データの収集に際し、事前にユーザーの同意をとると述べた。

原告団の弁護人を務めたJay Edelsonは声明で「生体認証データは、位置データと並んでこれからの時代のプライバシー保護を考える上で非常に重要だ」と述べた。

企業や捜査機関の間で顔認証データの利用が広がる中で、プライバシーの侵害を懸念する人々も増えている。サンフランシスコは昨年、米国で初めて、行政機関や警察による顔認証データの活用を禁止した。

2018年のケンブリッジ・アナリティカ問題の発生を受け、プライバシー保護団体はフェイスブックの個人データ利用を厳しく非難するようになった。米連邦取引委員会(FTC)は昨年、フェイスブックが適切なプライバシー管理を怠ったとして、50億ドルの制裁金支払いを命じ、フェイスブックはこれに従った。

それ以降もフェイスブックは膨大な個人データを収集し、広告ビジネスに活用していることで、さらに厳しい目を向けられている。

編集=上田裕資

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