今回の訴訟ではフェイスブックが、2008年にイリノイ州が定めた「バイオメトリック情報プライバシー法」に違反したとされた。この法律は、企業が利用者の同意なく生体認証データの収集を行うことを禁ずるものだ。
原告団はフェイスブックが顔のタグづけ機能のために、face printsと呼ばれるデータセットを、違法に収集していたと指摘した。弁護団によると、原告らは一人あたり200ドルかそれ以上の和解金を受け取ることになるという。
今回の訴訟は米国において唯一、生体認証に絡むプライバシー法を定めているイリノイ州で起こされた。
フェイスブック側は同社のオペレーションに非はなかったとの見解を示したが、今後は生体認証データの収集に際し、事前にユーザーの同意をとると述べた。
原告団の弁護人を務めたJay Edelsonは声明で「生体認証データは、位置データと並んでこれからの時代のプライバシー保護を考える上で非常に重要だ」と述べた。
企業や捜査機関の間で顔認証データの利用が広がる中で、プライバシーの侵害を懸念する人々も増えている。サンフランシスコは昨年、米国で初めて、行政機関や警察による顔認証データの活用を禁止した。
2018年のケンブリッジ・アナリティカ問題の発生を受け、プライバシー保護団体はフェイスブックの個人データ利用を厳しく非難するようになった。米連邦取引委員会(FTC)は昨年、フェイスブックが適切なプライバシー管理を怠ったとして、50億ドルの制裁金支払いを命じ、フェイスブックはこれに従った。
それ以降もフェイスブックは膨大な個人データを収集し、広告ビジネスに活用していることで、さらに厳しい目を向けられている。