モバイクは、出前サービスを展開する「美団点評」により2018年4月に買収された企業で、2016年から2017年にかけて競合のofoらと並んで勃興した。これらの企業は、アプリ経由で乗車できるレンタル自転車を、特定の駐車スペースを持たないドックレス形式で配置する点を強みとし、ベンチャーキャピタルから巨額の資金を調達していた。
しかし、このオペレーション手法は放置自転車などの問題を引き起こし、当局との間で対立も起きていた。モバイクは海外進出にも意欲的に取り組んだが、英国のマンチェスターからは既に撤退し、その他の諸国でも当局から車両の登録や、営業許可費用の支払いを求められている。
マンチェスターの行政は2020年から、当局が運営する駐輪ドックを併設する自転車レンタルサービスを開始する。
アリババが主に出資したモバイクや、テンセントが主に出資したofoは一時的に中国を代表するスタートアップとして急進したが、瞬く間に資金を燃やし尽くしてしまった。
モバイクの企業価値は2017年6月にテンセントから6億ドルを調達した際に30億ドル(約3240億円)以上とされたが、2018年5月に美団に27億ドルで買収された。英フィナンシャル・タイムズは、ofoが倒産の危機に瀕していると数ヶ月前に伝えていた。
英国でのドックレス型のレンタル自転車の利用料は1回あたりのアンロック(解錠)が1ポンド程度で、利用時間に応じた費用も発生する。ラストマイルの乗車をターゲットとするこの市場には米国のLimeの電動キックボードなども参入し、特に欧州や米国で競争が加熱している。しかし、この分野の企業はいずれも利益を生み出せていないことで知られている。
中国でドックレス形式の自転車シェアが急拡大した背景には、深刻な大気汚染への懸念と、都市部の渋滞の激しさがあった。しかし、質の低い自転車の故障率は高く、中国の都市部には自転車の墓場と呼ばれる瓦礫の山が至るところに出現した。
フォーブスはモバイクにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。