契約を自分一人で結べるようになる
20歳になって変わる大きなことの1つとして、「親の同意なく契約を結べること」が挙げられる。それだけを聞くと、大人になったことを実感するかもしれないが、一方で同時に大きなリスクを背負ったともいえる。金額の多寡を問わず、騙されてお金を奪われてしまった経験がある人はいるかもしれない。明らかに悪意のある詐欺のようなものであっても、そこに自分がサインした契約書が存在してしまうと、泣き寝入りせざるを得ないケースが多い。
筆者は詐欺被害に関する記事を書くために、実際の詐欺被害者に取材をしたことがあるが、その際に見せてもらった契約書は大変複雑なものだった。文字が小さく、何枚にも及ぶ契約書の中には難しい専門用語が並ぶ。一通り説明を受けて、契約の意思を見せた段階でこの契約書を出されてサインを求められるため、すべてを読み込んで理解する時間はまったくなく、ほとんど内容は見ないままにサインをしてしまったそうだ。騙す側も敢えてそのような雰囲気をつくっているのだろう。
改めて時間をかけて契約書を読んでみると、仮に後日訴えられたとしても、しっかりと反論できるような記載が数多く仕込まれており、おかしな言い方だが、非常によく考えて作りこまれているという印象だった。明らかに詐欺だということで、裁判に持ち込んで勝ったとしても、全額を取り戻すことは難しく、あくまで被害金額の一部を取り戻すので精一杯なのである。
お金は守らないと奪われる
せっかく成人を迎える人たちに対して、ネガティブな情報を与えるのは気が引けるが、この世はお金を自分で守らないと、誰がどこからそれを奪ってくるかは分からない。冒頭では実際の詐欺について書いたが、詐欺ではないものの、悪意を持ってお金を奪おうとする人たちも数多くいる。筆者は会社を経営しているため、この手の人たちが接触してくる経験を数多くしているが、それは20歳の若者でも変わらないだろう。
自分でアルバイトをして稼げて、かつ自分自身の判断で契約を結べる20歳以上の大学生は、さまざまな詐欺師たちが接触を図ってくる。以前にも紹介したことがあるが、儲け話を持ってきてUSBメモリーを買わせる「モノなしマルチ」はものすごい勢いで被害を拡大させている。