とはいえ、そこまでするのは面倒だと考える家族もいる。その場合は、扱いがはるかにラクな、フェイクのツリーを組み立てることになる。11か月の間、地下の物置で眠っていたものだ。
ポリ塩化ビニル製のツリーには、ほかにも潜在的な利点がある。フェイクの木なら、細長い針のような葉が床に散乱することもないし、もみの木と違って処分する必要もない。本物のツリーに優る可能性がある、もうひとつの利点は価格だ。ポリ塩化ビニル製ツリーは、一度買えば長年使えるので、財布にも優しい。
アメリカではいま、クリスマスツリーを購入するシーズンだ。そこで、リアルなツリーとフェイクのツリーの売れゆきを比較してみたい。アメリカでは、もみの木を買わず、プラスチック製ツリーに鞍替えする家族が増えているのだろうか。
全米クリスマスツリー協会の過去データによると、答えは「ノー」だ。過去10年間を見ると、プラスチック製ツリーの販売数が大幅に増えた一方で、本物のツリーも、比較的安定した売れ行きを見せている。
アメリカ全体では、2018年に推定で3280万本のクリスマスツリー用もみの木が売れた。これは2013年以来、最多だ。一方で、プラスチック製ツリーの売れ行きも、2012年の1090万本から、2018年には2360万本に増えている。
近年は、リアルとフェイクがともに安定した売れゆきとなっているにもかかわらず、本物のツリーをこよなく愛する人々にとっては残念な知らせがある。もみの木が不足していると報道されているのだ。
原因は、前回の不況だ。そのときに景気が悪化したあおりを受けて、もみの木栽培農家が植えた苗の本数が減った。それが、10年後のいまになって業界に影響を及ぼしている。
業界関係者の大半によれば、今年は品薄にならないようだが、値上がりするのはほぼ間違いない。そのため、代わりにプラスチック製ツリーを購入する家族が出てくるだろう。
本物のツリーの1本あたり平均価格は、2017年は75ドルだったが、2018年には78ドルに値上がりした。一方、1度買うだけで済むプラスチック製ツリーの平均価格は、2017年は107ドルだったが、2018年は104ドルに下がっている。
リアルならびにフェイクのクリスマスツリーの推定購入数(年推移)単位:100万本