子どもへのクリスマスプレゼントに「ニンテンドープリペイドカード」はアリかナシか? 

Anna Bizon / EyeEm / Getty Images

もうすぐクリスマス。街中もイルミネーションできらびやかになっており、心なしか我が家でも子どもたちがそわそわしている。友人と子どもにあげるクリスマスプレゼントについて話をするが、小学校高学年ぐらいになると、プレゼントについてもさまざまな悩みが出てくるようだ。今回はクリスマスプレゼントをきっかけに、子どもと「お金」について話し合う内容について提案したいと思う。

現金でないと大事に扱わない?

筆者の子どもたちは3人とも未就学児のため、「サンタさんに何をお願いするの?」と聞けば、それぞれ欲しいものを挙げてくれる。しかし、子どもが小学校高学年にもなると、そう単純にはいかないようだ。筆者の友人は小学校高学年の子どもがいるが、クリスマスプレゼントは何がいいかを子どもに尋ねたところ、「ニンテンドープリペイドカードがいい」と言われたそうだ。このプリペイドカードはNintendo SwitchやWii U、ニンテンドー3DSなど、任天堂が提供しているゲーム内で実際に使えるものである。

特に欲しいものがないなら、プリペイドカードでそれなりの金額を渡しておいて、子どもが使いたいときに使わせてあげるのはいいことでは?と思ったのだが、友人はそうではないという。その家庭では子どもに現金を毎月お小遣いとして与えているのだが、子どもたちは貯金箱に貯まっていく現金を大事にしていて、あまり無駄遣いもしないようにしているという。

しかし、過去にプリペイドカードをあげたところ、ゲームでどんどんアイテムを購入し、あっという間に残高を使い切ってしまったそうだ。現金でお金をあげると大事に扱うのに、それがゲーム内での通貨となってしまった瞬間に大事に扱わなくなったという場面を目の当たりにして、プリペイドカードをプレゼントすることは避けたくなったという。

なぜお金だけが進化しなかったのか?

このような理由から、子どもへの金融教育を考えたると、お小遣いは現金で与えるべきだという主張が出てくる。実際、我が家でも子どもたちには現金でお小遣いを与えている。しかし、1つ不思議なことがある。それは、なぜお金だけが進化していないのか、ということだ。

筆者が子どものころから考えると、手紙や固定電話はLINEやスマホの登場によって代替され、書店もアマゾンに徐々にポジションを取られている。日本ではまだまだだが、タクシーも海外ではウーバーやGrabに取って代わられている。しかし、お金だけは現金という昔から一切かたちを変えぬまま残っている。

消費増税にあわせて、キャッシュレス還元が行われたことで、日本国内では現金を使わない場面も増えてはきたが、それでも依然として日本では現金至上主義であることは変わらない。

キャッシュレス以外でも、一時期はビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)が現金の代替になるのではないかという話もあったが、結局は投機の対象になっただけで、実際に法定通貨に取って代わることはなかった。フェイスブックが発表したデジタル通貨「リブラ(Libra)」の構想も、早々に規制当局や中央銀行から否定的な発言が続出し、結局瓦解しつつある。

これを機に、子どもと一緒にお金の歴史を勉強してみてもいいかもしれない。まだ、お金という概念がなく物々交換をしていた時代から、現代に至るまでの歴史だ。ドラえもんのお金の絵本などにもこのような話は載っており、子どもでも十分に理解することはできるだろう。
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文=森永康平

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