冬休みには「時事問題」対策を
塾の勉強の流れでオーソドックスなのは、4〜5年生で小学校の全範囲を網羅し、6年生では夏期講習までにもうひと回りそれを復習をする。秋以降は、いわゆる「詰め」の学習と、受験校対策としてそれぞれの志望校の過去問を解くという流れです。
そして冬休み。なんと言ってももう時間がありませんから、ここは優先順位がいちばん大事です。
とくに、社会の対策は重要です。過去問ですが、遡りすぎて解くのは実は意味がない。4〜5年前の地理の問題になると、元になっている統計データが古いので、現在とは正解が違うこともあるからです。
麻布中学、武蔵中学など、論述を中心とするなら、過去までさかのぼることも必要ですが、そうでなければ過去問は、せいぜい2、3年分で解けば十分です。
逆に昨今では旬のテーマに関連した、時事的な問題が出題されます。重要なのは「どこまで直近のトピックを聞かれるか」ですよね。
各学校が「入試問題をいつつくっているか」は非公開ですが、大部分は9〜10月頃には完成し、11〜12月で最後の調整をしていると考えればよいと思います。これを考えると、本当に「直前の直前」の話題が問われることはないと考えてよいのです。
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具体的には、この時期、重大ニュースの書籍や時事問題集が書店に並ぶので、いちばんピントくるものを1冊、購入するとよいでしょう。サピックスでいうと、ニューストピックだけでなく、「そこから何が出題されるか?」を分析した予想問題をセットにしています。
そういったものを手がかりに、お正月には、お父さんたちも、ぜひ、直近の重大ニュースについて、お子さんと「話し合う」ことをお勧めします。
中学受験と「その後」の人生
中学受験は合格が目的ですが、中学受験にある学校に入るか入らないかは、最終的なゴールでもなんでもありません。中学入試は1点、2点で大きく結果が変わる世界です。努力さえすれば、実りが必ずもたらされるとはいえないのです。
中学は志望校に入れなかったが、中学受験で叩き込んだ勉強への姿勢を生かして大学受験ではがんばり、目指す大学に合格できたというお子さんも数多くいらっしゃいます。何より、目標に向かってがんばったという努力、それこそが財産になります。
逆に、あまり頑張らなかったのにたまたま合格してしまったら、それはそのお子さんにとっての負の財産になりかねないかもしれないんです。
「年明け」が切り替えのチャンス(「四谷大塚」お茶の水校舎校舎長 成瀬勇一氏)
残り50日の今は、生徒たちに、「毎日全科目に触れる」ことを勧めています。直前だからこそ特定の科目に偏らず、バランスよくが重要です。
また、試験開始時刻に脳をフル回転させるためには、起きる時間が試験開始の3時間前が望ましいでしょう。1科目目はどの学校でもおおよそ「国語」ですが、緊張状態の中、長文を読み切るためにも大事です。
塾が終わる時間も遅いですし、12月まではどうしても「夜型」になりがちだったと思いますが、遅くとも年明けには「朝型」に切り替えるよう心がけましょう。
「四谷大塚」お茶の水校舎校舎長 成瀬勇一氏