世界3大投資家のひとりに数えられる、ジム・ロジャーズ。なぜ、彼には強い発言力があるのか。安倍政権の問題点や、東京2020オリンピック後の日本の景気後退など、なぜ日本は衰退すると主張するのか。
ジム・ロジャーズから見た安倍政権
ジム・ロジャーズは以前より、「安倍政権は日本を破滅させ始めた」と批判。安倍政権の負債の多さを指摘している。日本政府の借金は1100兆円とも言われており、今も借金を重ね続けている状況だ。
彼は借金だけでなく、人口減少に伴う、借金を返済する人が減少していることも懸念している。日本好きとしても知られるが、現在は日本の株は保持していないという。
東京オリンピックは、日本を衰退させる?
経済効果への影響が期待されている東京2020オリンピック・パラリンピックが、いよいよ開催される。東京都が17年に発表した東京オリンピック・パラリンピックの経済効果は全国で約32兆3千億円。
大会開催が東京都に決定した13年から大会10年後の30年までの18年間にわたり、経済効果は続くと見ている。
しかし、ジム・ロジャーズは経済的な側面において「あまり効果がない」と述べている。Forbesのインタビューに対しては、こう回答している。
「1976年にどこでオリンピックがあったか答えられますか? それでその国が変わりましたか? ……そういうことです。ホテルやレストラン、観光業が短期的に盛り上がるくらいです」
むしろ負債を大量に抱えている日本にとって、多額の出費が必要となる東京2020オリンピック・パラリンピックは、日本を衰退させる要因にもなり兼ねない。
消費増税は「クレイジー」
さらに、10%へ増税となった消費増税に対しても「クレイジー」な判断だと語る。ジム・ロジャーズは、まず防衛費等の支出を大幅に抑える必要性を指摘。
20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う大きな出費が予定されている中での増税は、日本の課題の一つである少子化にも影響を及ぼす危険性が高いのだ。
世界的投資家・ジム・ロジャーズとは
そもそもジム・ロジャーズとは、どういった人物なのだろうか。彼は1942年生まれで、アメリカ合衆国アラバマ州の出身。
イェール大学とオックスフォード大学で歴史学を修めたのち、NYのウォール街で勤務。同じく世界的投資家と言われるジョージ・ソロスと共にクォンタム・ファンドを73年に設立した。
クォンタム・ファンドでは、10年間で4200%という驚異的なリターンを叩き出した。37歳で引退後は大学での教鞭や数々の講演やインタビューに応じており、リーマンショック、トランプ当選、北朝鮮開国などを予言。07年にはアジアの経済的発展の未来を見越し、シンガポールに家族で移住している。
主な著書
19年には『お金の流れで読む 日本と世界の未来 世界的投資家は予見する』(PHP新書)や『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)を発売。日本に訪れると予見する危機に関して詳細に述べている。
また、彼は冒険家としても知られており、著書に『冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行 』『冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見』(以上、日経ビジネス人文庫)などがある。
日本の止まらない少子化
日本経済の具体的な問題点は何だろうか。ジム・ロジャーズが指摘するのは、債務が増加しているにも関わらず、人口減少・少子高齢化が起き続けていることだ。
厚生労働省が19年11月26日に発表した人口動態統計(速報)によれば、1~9月に生まれた子どもの数は67万3800人。前年同期に比べ5.6%減っており、19年の出生数は30年ぶりの大幅減となる可能性があるという。女性が子供を産みたがらない環境であることや、外国人労働者にとって働きにくい環境であることをジム・ロジャーズは指摘する。
日本とフランスの対策
日本政府はこれらの問題に対してどのような対策を打っているのだろうか。15年には「子ども・子育て支援新制度」が施行され、子ども・子育て本部を設置。若者の雇用安定や保育サービスの充実、働き方改革の推進などを掲げている。しかし待機児童や長時間労働など解決されていない問題は多いと言わざるを得ない。
そんな中、世界的に少子化対策として注目すべき政策を進めているのはフランスだ。
フランス政府は特に3人以上の子供がいる家庭に対して所得税を減税するなどして経済的負担を減らしたり、高校までの学費や出産費用を原則無料にしたり、男性も出産休暇が取りやすくしたりと様々な支援を行ってきた。
その他、ドイツやスウェーデン等も少子化対策の先進国として注目を集めている。
韓国と北朝鮮の統一を主張
ジム・ロジャーズは数々のメディアに対して、現在の関心は韓国に向けられていると述べている。なんと、韓国と北朝鮮の朝鮮半島が統一する未来が近いと予言しているのだ。
韓国には潤沢な資本がある一方、北朝鮮には高い教育を受けた労働者が多数存在する。両国間の経済活動が開放されれば、大きな発展が見込めるという。
また、北朝鮮の豊富な資源にも着目。金正恩はスイスで教育を受けていることもあり、経済開放に積極的に動く可能性が高いとジム・ロジャーズは見ている。
韓国がアジアをリード
実際に金正恩はすでに観光客向けのスキー場を建設したり、マラソンや自転車の国際大会を開催したりと以前の指導者とは異なる動きを見せている。また、トランプ大統領が軍事費を削減したがっている流れもあり、在韓米軍の引き揚げの可能性、そして南北朝鮮半島の統一の可能性の高さを指摘しているのだ。
ジム・ロジャーズはすでに大韓航空の株を購入。アジアをリードする国として関心を寄せている。彼はまたもや未来を予見するのか。今後も彼の発言から目が離せない。
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