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2019.10.26

ナイキとアンダーアーマーのCEOが退任 無敵CEOの時代は終焉へ?

ナイキのCEO マーク・パーカー / Getty Images


アンダーアーマーの創業者であるケビン・プランクCEOも今週、退任を発表した。プランクは大学在学中、祖母宅の地下室で同社を創業し、これまで経営してきた。新CEOにはパトリック・フリスク社長兼最高執行責任者(COO)が就任し、プランクは取締役会長となる。


ケビン・プランク(2016年撮影、Getty Images)

株主らはCEO交代を歓迎しており、アンダーアーマー株は発表を受け高騰。それに合わせ、同社株式の14.79%を所有するプランクの保有資産額も8900万ドル(約97億円)増加し、約7億1000万ドル(約770億円)となった。

ここ数年は、プランクとアンダーアーマーにとって苦難の時期だった。同社は過剰な在庫を抱え、高コストの構造改革が必要となり2億ドル(約220億円)の損失が生まれた。消費者需要の変化により、ルルレモンなどが展開するファッショナブルなスポーツウエア「アスリージャー」が注目されるようになり、コスト削減のため400人の従業員の解雇を余儀なくされた。

米紙ウォールストリート・ジャーナルは過去に、プランクを含めた会社の経営陣が男性中心主義の環境を作り上げていると報じていた。スポーツ選手や従業員は定期的にストリップクラブに連れ出され、その費用は会社が負担していたとのことだ。

ボーイング民間航空機部門のケビン・マカリスターCEOも今週、退任を発表した。同社の737MAX型2機が墜落し、計346人の乗客乗員全員が死亡したことを受け、多くの国の航空会社が同型機の運航を停止した。公式には認められていないが、墜落の原因は同機に新たに搭載された自動飛行制御システムにあったとされている。


ケビン・マカリスター(2018年撮影、Getty Images)

マカリスターはMAX型のデビュー直前にボーイングに入社したが、事故の最初のスケープゴートとして代償を払うこととなった。消費者権利活動家のラルフ・ネーダーは21日、ボーイングのデニス・マレンバーグCEOとボーイング取締役会全員の退任を要求した。マレンバーグは既に会長の地位を追われている。

最近では、自己取引疑惑や経営手法が物議を醸していたウィーワークのアダム・ニューマンCEOが、取締役や出資者に愛想をつかされ、退任に追い込まれた。ニューマンの退任は、ウーバーのトラビス・カラニック前CEOの退任を彷彿とさせる。

カラニックは同社でのハラスメントや報復、差別、いじめなどの疑惑が明らかになった上に、自身がウーバー運転手に激怒する様子を撮影した動画が公開され、退任へと追い込まれた。

また、昔ながらのグローバル企業エリートの典型である日産自動車のカルロス・ゴーン前CEOは、9000万ドル(約98億円)以上の報酬を隠そうとした疑惑が浮上し、逮捕・解任されている。

責任を追及されない無敵なCEOの時代はどうやら、終焉を迎えそうだ。

編集=遠藤宗生

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