ヴェネツィア・ビエンナーレを制した巨大アート、「6対の手」が語るものとは


今回、Forbes Italiaは、新作についての質問を携え、ロレンツォ・クインを訪ねた。

──作品はどうやって生まれるのですか。

まず、テーマです。それは、個人的なことだったり、一般的な事象を題材にする場合もあったりします。そして、何を伝えたいかを決めます。僕にとって、芸術がそれを観る人との対話であるということが重要なんです。その後、タイトルと、そのアイディアを表す形容詞をいくつか選びます。そのあとでやっと、最初の下絵(デッサン)にとりかかります。


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──ということは、表現するうえで、メッセージを伝える必要性が核にあるということですね。

まさにそのとおりです。メッセージというのは、アートの第4次元だと思っています。芸術は普遍的な言語ですから、どんな人にも理解される作品を制作する意識でいます。漠然と重要性のあるテーマを謳う作品を制作していればいいなんていうつもりはまったくありません。むしろ、芸術は世界の状況を好転させることができると思っているんです。

──作品「Building Bridges」には、どういう経緯で辿り着きましたか。

僕はアーティストであると同時に父親でもありますから、子どもたちに残される世界について常に自問しています。ヴェネツィアで初めて制作した作品は「This is Not a Game」というものですが、戦車を押さえ込む2つの手を表現しています。争いの絶えない時代に、あの作品を通して、戦争に対する世論を喚起しようとしました。


作品「これはゲームではない(This is Not a Game)」、2011 ビエンナーレ、ロレンツォ・クイン

一方、2017年の「Support」では気候変動というテーマに向き合いました。そして今回、「Building Bridges」では、世界をよりよくしていくために、他者へのいたわりや、人間どうしの協力が不可欠な要素だということを伝えたい。我々が共有するヒューマニティーの概念が失われつつある今、それを語ることは大切だと僕は思っています。作品を通して「行動」を呼びかけたいんです。

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翻訳=大村紘代 編集=石井節子 写真=Forbes Italia提供

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