テクノロジー

2019.10.01 12:00

IPO目前のフードデリバリー企業が未来を託す「出前ロボット」


配達ロボットが自動車よりも有利な理由



自動運転車に問題が生じた場合、Phantom Auto社内にいる技術者に車載カメラの映像がセルラーネットワークを通じて送信される。技術者は、マルチスクリーンのコンソールに座り、テレビゲーム風のコントローラを用いて車両を遠隔操作し、問題を解決する。

自動運転タクシーが普及するにはまだしばらく時間を要することが予想されるが、Phantom Autoの技術はPostmatesのような配達ロボットに最適だ。Serveは歩道を走行するため、障害物を避ける際にPhantom Autoの技術が役立つ。また、配達ロボットの運用を認めている州は、Phantom Autoのような監視サービスの搭載を求めている。

Kashaniによると、Postmates は2020年までに100台を超えるロボットを主にロサンゼルスとサンフランシスコに導入する予定だという。「我々は、自律走行技術と遠隔操作を組み合わせることで、自動運転車を今すぐにでも商用展開できることを証明した。これは、モビリティ業界において重大な転機となる出来事だ」とMagzimofは述べている。

自動運転トラックを手掛ける「Starsky Robotics」や日産、ロボットタクシー企業の「Zoox」なども車両に遠隔操作機能を搭載している。アルファベット傘下で業界最大手の「ウェイモ」も遠隔監視システムを搭載しているが、同社の場合は技術者が遠隔操作を行うのではなく、主にガイダンスとルート計画の作成を行っている。

Kashaniによると、多くの州が配達ロボットの商用運用を認めており、自動運転車や自動運転トラックに比べて展開が有利だという。

「規制面で我々は自動車業界よりも進んでいるが、安全性を考慮すれば当然のことだと言える。車の場合、2tもある車体が時速80kmで走行するため、瞬時の判断ミスが致命的な結果をもたらす。一方で、配達ロボットは重量が45kgほどで、時速は5kmに満たない上、歩道ではいつでも停止することができる。しかも、常時監視しているオペレーターに助けを求めることが可能だ」とKashaniは語った。

編集=上田裕資

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