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共に、生きる──社会的養護の窓から見る

ゆずりはは社会的養護の「アフターケア」を担う事業所で2011年に開所した

虐待や親の病気などが理由で、保護者と暮らせない子どもたちを社会が育てる仕組みを「社会的養護」という。私はこの社会的養護に関わるようになってからずっと、人が人と“共に生きる”とはどういうことか考え続けている。

その答えを見つける手がかりにしたいと、孤立しがちな人に寄り添い、サポートする人たちに会う機会には、できるだけ話を聞かせてもらうようにしている。虐待や精神疾患、貧困、DV、性暴力など、はた目にはわからなくても、いや、一見わからないからこそ、抱え続けてきた苦しみがある。

折しも、毎日のように子どもの虐待や暴力に関するニュースが報道されるが、保護されて終わりではない。子どもたちの「その後」についてはほとんど関心が寄せられることがない。

一方で、虐待を受けたから、社会的養護のもとで暮らしていたからといって、すべての人が困窮したり精神的に追い詰められているわけではないということもお伝えしておきたい。人が抱える背景や状況、気持ちはそれぞれであり、逆境をバネに力強く生きている人がいることもよく知っている。

しかしやはり、家族が最大のセーフティネットとなっている現代の日本において、頼れる家族がいないことは、ほんの小さなでっぱりでもつまずく可能性が高くなる。そうしてつまずいて起き上がれなくなったときに、添え木のような、支える手があったらと願ってやまない。

そこで今回は、私もスタッフを務める「アフターケア相談所 ゆずりは」の活動を紹介したい。



家族が頼れない人たちの駆け込み寺

東京の西側、国分寺駅から7、8分歩くと、「ゆずりは」の看板が見えてくる。ここでは、かつて社会的養護のもとで暮していた方たちの相談を受けつけている。年齢は10代から60代までと幅広く、年間の相談件数は3万件以上。社会的養護を巣立った人たちから連絡があるほか、児童養護施設や里親、同じようにアフターケアを担う団体など、支援する側の人たちからも相談がある。

「働けなくなった」「家賃滞納で追い出されそう」「保証人がおらずアパートが借りられない」「予期せぬ妊娠をした」「暴力的な親や配偶者から逃げたい」など、よせられる相談内容は実に様々だ。

本人に面会し、内容に応じて役所や関連機関への同行や手続きの代行などを行い、問題解決のサポートをしていく個別の相談支援がメインだが、社会的養護を巣立った人たちが集う「ゆずりはサロン」や、就労支援としてジャム工房の運営、高卒認定資格取得のための無料学習会、子どもを虐待してしまう母親の回復を図る「MY TREE ペアレンツ・プログラム」などの事業も行なっている。


文=矢嶋桃子

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