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2019.09.25 12:50

3兆円以上を投資。アメリカン航空が注力する「特別な顧客体験」の実力

新國 翔大

座席は非常に広く、コントロールパネルを使って調節が可能。本を読むのに最適な角度、映画を見るのに最適な角度などを選べる。寝るときは座席がすべて倒れ、横になって眠ることも。アメリカン航空のFlagshipビジネスキャビンには、フルフラットシートもある。もちろん、機内のWi-Fi、生放送のテレビ番組、日本でも人気があるものや受賞歴があるものを含め計何百時間もの番組や映画を利用できるようになっている。

またホッジスが「この座席の大きな魅力」と語ったのが、座席の向きが変わる点だ。座席の横にあるレバーを引くと、座席の向きを横にすることができる。

「従来の座席は横に動かすことができなかったので、ご飯を食べるときはパソコンを片付けなければならなかった。でもFlagshipファーストの座席は横に動かすことができるので、パソコンで仕事しながら、ご飯を食べるときは座席の向きを変えてご飯が食べられる。飛行中に地上の情報などを知りたいビジネスパーソンにとって便利だと思う」(ホッジス)

機内で提供される食事は日本料理店「くろぎ」 オーナー兼料理長の黒木純が手がける本格的な和食が楽しめる。





前菜として本格的な刺身、煮物などが出てきた後、メインとしてすき焼きが出てくる。味も非常に良く、機内でこれだけのクオリティの料理が味わえるのか、と思えるほど。ご飯も炊きたてのように、ふっくらとしていて美味しい。最後にはカフェで出てくるようなサンデーも提供される。

また飲み物も当然のようにビール、シャンパン、ワインが揃っている。通常だと飲み物が提供されるタイミングは限られているが、アメリカン航空ではどのクラスでも、担当のCAを呼ぶことで、いつでも好きな飲み物が提供してもらえる。

こうしたサービスもそうだが、「アメリカン航空はお客様に対応するチームにも投資をしている」とホッジスは言う。例えば、その担当チームへの教育などがそうだ。

「Flagshipファーストはさまざまな国籍の人が利用します。ですから、我々のチームも異文化に対する理解力を上げていかなければなりません。アメリカン航空では、そうした教育にも力を注ぎ、サービス精神を向上させていっています。それはすでにお客様の満足度向上にもつながっていますし、チームは非常に誇りを持てるようになる。そして、最終的にはそれが他社との差別化につながっていくのです」(ホッジス)

入国審査から市内への移動まで一切のムダがない

羽田空港からロサンゼルス空港まで約9時間ほど。おいしい食事をとり、ネットフリックスを見たり、寝たり。はたまた本を読んだりしながら、機内での時間を過ごす。ロサンゼルスに到着し、機内を出るとファーストクラスならではの特別な体験が待っている。

機内を出ると専用のスタッフが立っており、違う道へと案内される。チェックインのカウンターに向かうのが一般的だが、アメリカン航空のFlagshipファーストではグランドに降ろされ、到着を待っていた車へと乗り込む。一体、どこへ向かうのか。スタッフに聞くと、「The Private Suite(プライベートスイート)」だという。

ホッジスも「地上でのサービスにも投資をしており、よりプライベートな時間を大切にして頂ける『The Private Suite(プライベートスイート)』をご利用のすべてのお客様は、専用の税関手続きと出入国審査を受けられます。すばやい対応で待ち時間を短縮できます」と語る。


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文=新國翔大

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