米調査会社イーマーケター(eMarketer)によると、米国での今年の実店舗の売り上げは前年比で再び増加するだけでなく、電子商取引よりも売り上げ成長に貢献している。
小売の死を予言するあらゆる悲観的な話がこれまでささやかれてきたにもかかわらず、新たに数千店舗が開店予定で、その多くは実店舗を持つことを避けてきたインターネット発のブランドだ。これまで、非常に多くの従来型小売業者が復活を経験してきた。さらに、ネットショッピングをけん引する上で実店舗が果たす役割はますます重要性を増していて、その証拠もきちんと示されている。
その代わりに大変動が生じるのは、退屈で二流で、違いが際立たない中間層と私がよく形容する分野だ。ごくわずかの例外を除き、価値スペクトルのどちらかの端でうまくビジネスを行う小売業者は成功を収めている。価格と便利さに弱い企業、あるいは、高品質で差別化された記憶に残る商品や買い物体験を提供できない企業は、持続性のない中間地帯にますますはまってしまう。
ギャップやジェイクルー、ハドソンズ・ベイなどの最近の売り上げ報告からは、従来型小売はまだ活気があるが、退屈な小売は低調であることがさらに浮き彫りになっている。米衣料品大手ギャップの3つの大きな部門(ギャップ、オールド・ネイビー、バナナ・リパブリック)は全て、売り上げ減を報告している。
これは同社が、競争が増し続けるアパレルの世界で自社商品を他から差別化する課題に直面していることが主な理由だ。一方で、より固有の商品提供を持つ同社傘下のスポーツ衣料ブランド、アスレタの業績は好調だ。
ジェイクルーの状況はこれに類似している。ジェイクルーブランドの売り上げは引き続き振るわない一方で、傘下のブランド、メイドウェル(Madewell)は好調で、先日報告された四半期の既存店売上高は10%増加していた。