コロラド大学ボルダー校の研究チームによると、噴火があったのは千島列島にあるライコケ島(雷公計島)だ。この島は、太平洋プレートがアジア大陸の大陸地殻に潜り込むポイントに位置している。
ライコケ島は7月22日、95年ぶりに噴火し、火山灰と硫黄化合物が上空2000メートルまで噴出した。NASAのニュースサイト「Earth Observatory」によると、その後の噴火による噴煙は1万1000~1万3000メートルの成層圏にまで達した。
この噴火により大量の火山灰と二酸化硫黄ガスが成層圏に達し、二酸化硫黄が水蒸気と反応して硫酸の微小なしずくが形成された。成層圏では雨が発生しないため、このエアロゾル(浮遊する微小な液体や固体)は、地上に降り注ぐことなく大気の流れによって北半球に広がった。
コロラド大学の大気宇宙物理学研究所は2019年8月、ワイオミング州で採取した大気からライコケ島の噴火によるものとみられる火山性エアロゾルを検出した。これはコロラド州でカラフルな夕日が見られたのと、同じタイミングのことだった。
研究チームによると、成層圏のエアロゾルの層の厚さが噴火後に一部で通常の20倍になっていたという。大気中の微小な火山性粒子が、日の出と日の入りのタイミングで太陽光を拡散させることは過去の噴火から分かっている。
2019年7月と8月に北米と欧州で観測された、ピンクや黄色の夕日は、ライコケ島の噴火の影響だった可能性が高い。