こう話すのは、MGMリゾーツ・インターナショナル会長兼CEO、ジム・ムーレン。同社は、「大阪ファースト」方針を宣言。カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を目指す大阪へ注力している。MGMリゾーツは、1960年代からラスベガスでカジノ・リゾートを手掛け、現在は年間純収益1兆円以上(※1)、ラスベガスをはじめ世界各地に28のリゾート・ブランドを展開するIRオペレーター大手だ。
IRの誘致をめぐっては、8月22日に横浜市が白紙から一転、山下ふ頭に誘致することを正式に表明。これに対し、該当地域である山下ふ頭を利用する湾港運送事業者でつくる横浜港運協会は反対を表明した。また同じく大阪への参入を目指していたラスベガス・サンズは大阪での入札参加を見送り、東京、横浜へ注力すると発表した。他に誘致を目指す自治体は長崎県の佐世保市、北海道の苫小牧市などがある。
カジノを含むIR建設に関しては、ギャンブル依存症や治安の悪化などを危惧する声が上がっているが、IRはカジノがすべてではない。日本でのIRを開発する権利を獲得したらとの前提で、同社はカジノの他にホテルや日本最大のMICE(※2)、日本の最先端のテクノロジーを紹介するイノベーションセンターやシアター、公共スペースなども建設する構想がある。つまり、カジノ自体の占める敷地面積は全体の3%以下であり、それ以外の敷地面積のほうが遥かに大きいのだ。
ゲートウェイとしてのIR
また「IRにより、海外から多くの観光客が訪れることになるでしょう。IRを訪れる観光客には比較的、長期滞在の傾向があり、冒険心が強い方が多いと感じます。そういった観光客は、小さな村を訪れたい、茶道を体験したい、高野山へ行きたい、瀬戸内海を船でまわりたい、といった本当の日本を求める欲求があるのではないでしょうか」とムーレンは語る。
そのために、IRがゲートウェイとしての機能を果たせれば、という。ゲートウェイ機能として、施設内にウェルカムセンターを設置することで日本全国の観光地の情報をPRするだけでなく、地方自治体や企業と連携することで幅広い送客を目指す。これにより、大阪、ひいては関西圏全体に大きな経済効果をもたらすことができるという。ムーレンは、日本企業から石巻の魚介類をはじめとする日本産の食物を年間30億円以上購入し、アメリカでプロモーション活動をしてきた実績がある。