新007は黒人女性、「性別や人種の多様化」目指す映画業界

Bond 25 メンバー/ラシャーナ・リンチ(一番右側) / Getty Images

英紙デイリー・メールの報道によると、2020年に公開予定の映画「007」の最新作では、英国の黒人女優のラシャーナ・リンチが007役を演じるという。007役を女性の黒人が演じるというニュースは、世界に衝撃を与えている。

ただし、ここで指摘しておきたいのはリンチが演じるのがジェームズ・ボンドの役ではないことだ。最新作において、ジェームズ・ボンドを演じるのは従来通りダニエル・クレイグになる。しかし、007のコードネームで呼ばれるスパイ役を黒人女性のリンチが演じるという。

デイリー・メールによると、最新作では主人公のジェームズ・ボンドがMI6を去り、ジャマイカで余暇を過ごしているところから物語が始まるという。その後、MI6の責任者が、007にリンチを任命するという展開だ。

英国のスパイ小説の作家、イアン・フレミングが執筆した007シリーズでは、様々なスパイが登場しており、今回の新作も決してオリジナルから逸脱したものではない。007を白人男性以外の役者が演じることは、以前にも議論されたことがあった。1993年にはその頃のジェームズ・ボンド役のティモシー・ダルトンに代わり、シャロン・ストーンが起用されるという説も浮上していた。

さらにいうと、2020年公開の007シリーズで主演としてクレジットされるのは、ジェームズ・ボンド役を務めるダニエル・クレイグであり、リンチが主演になる訳ではない。

男性がメイン役を務めてきたアクション映画に、女性ヒーローを起用して注目度を高める手法はこれまでも用いられてきた。ラシャーナは「キャプテン・マーベル」でパイロット仲間のマリアを演じ、アクション界の新たなスターとして注目を集めている。

今回の007シリーズ最新作は「Bond 25」という仮タイトルで呼ばれているが、数十年の歴史を誇るこの作品は今、時代の転換点を迎えている。黒人女性を007役に起用することで、新たなオーディエンスにアピールしたい意図も伺える。

前回の「007 スペクター」は2015年に公開されたが、今回の最新作はネットフリックスが全盛期を迎えて以降、初めて公開される007シリーズとなる。

「Bond 25」は2020年4月に英国と北米で公開される予定だ。この作品は1962年のシリーズ第1作「007は殺しの番号 ドクターノオ」から、50年以上の時を経て公開されることになる。

編集=上田裕資

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