ただし、ここで指摘しておきたいのはリンチが演じるのがジェームズ・ボンドの役ではないことだ。最新作において、ジェームズ・ボンドを演じるのは従来通りダニエル・クレイグになる。しかし、007のコードネームで呼ばれるスパイ役を黒人女性のリンチが演じるという。
デイリー・メールによると、最新作では主人公のジェームズ・ボンドがMI6を去り、ジャマイカで余暇を過ごしているところから物語が始まるという。その後、MI6の責任者が、007にリンチを任命するという展開だ。
英国のスパイ小説の作家、イアン・フレミングが執筆した007シリーズでは、様々なスパイが登場しており、今回の新作も決してオリジナルから逸脱したものではない。007を白人男性以外の役者が演じることは、以前にも議論されたことがあった。1993年にはその頃のジェームズ・ボンド役のティモシー・ダルトンに代わり、シャロン・ストーンが起用されるという説も浮上していた。
さらにいうと、2020年公開の007シリーズで主演としてクレジットされるのは、ジェームズ・ボンド役を務めるダニエル・クレイグであり、リンチが主演になる訳ではない。
男性がメイン役を務めてきたアクション映画に、女性ヒーローを起用して注目度を高める手法はこれまでも用いられてきた。ラシャーナは「キャプテン・マーベル」でパイロット仲間のマリアを演じ、アクション界の新たなスターとして注目を集めている。
今回の007シリーズ最新作は「Bond 25」という仮タイトルで呼ばれているが、数十年の歴史を誇るこの作品は今、時代の転換点を迎えている。黒人女性を007役に起用することで、新たなオーディエンスにアピールしたい意図も伺える。
前回の「007 スペクター」は2015年に公開されたが、今回の最新作はネットフリックスが全盛期を迎えて以降、初めて公開される007シリーズとなる。
「Bond 25」は2020年4月に英国と北米で公開される予定だ。この作品は1962年のシリーズ第1作「007は殺しの番号 ドクターノオ」から、50年以上の時を経て公開されることになる。