ACCCによると、サムスンは2016年から広告キャンペーンにおいて、同社の製品が海やプールで使用可能であるとアピールしていたが、その製品は業界の防水及び防塵規格(IP)を満たしておらず、広告の内容が虚偽で詐欺的であるとした。
電子デバイスの多くはIP規格への対応をアピールする。しかし、メーカーらはテスト環境で電子機器の防塵性や、真水の侵入に耐えうる性能を検査するが、「海水」でのテストは行っていない。
ACCCはサムスンが、一連のGalaxy端末を海やプールで使用中の画像や動画を広告で用いていることを指摘し、これらの端末はIP68規格を満たしてないと述べた。ACCCの申立書には、サムスンのほぼ全てのデバイスが記載されており、GalaxyやNote、最新機種のNote 9やS10、S10eやS10+も含まれていた。
さらに気になるのは「サムスンは、真水でない液体にデバイスを浸した後、製品が故障したという消費者からのクレームを却下した」とACCCが主張している点だ。裁判書類にはこのような記載がある。
「サムスンは、Galaxyデバイスを液体に浸した結果生じた損害の責任をとることを拒否した。サムスン・オーストラリアは、トラブルの責任をとらず、オーストラリア消費者法(ACL)に基づく保証責任を果たしていない」
サムスン香港のウェブサイトは、Galaxy S8やS8+を海水に浸さないよう警告している。「デバイスを高温の水や塩分を含む水、イオン化水、石鹸水に浸してはならない」との記載がある。しかし、ACCCが裁判所に提出した書類で提示された広告には、海やスイミングプールでデバイスを使用中の模様が描かれている。
PA通信の取材に対し、サムスン・オーストラリアは同社のマーケティング姿勢に誤りはなかったとしている。「当社はスマートフォンの耐水性についてのマーケティングと広告を支持している」
声明でサムスンは「当社は、保証書の内容とACLに沿った無料の修理を提供している」と述べた。
防水性能に関わる問題で、過去に広告の監督官庁の抗議を受けた企業はサムスンのみではない。2018年には英国の広告基準協議会が、HTCのU11の広告を差し止めた。広告の中で、英国の五輪選手のトーマス・デーリーがプールの塩素入りの水の中でU11を使用していた。
これと類似したケースでは、2017年にソニーの複数の製品が広告で「防水性能を持つ」という誤った印象を与えているとして、消費者に訴えを起こされていた。