アマゾンが英「倉庫作業員」1800人採用、ブラック労働の指摘も

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アマゾンは今年、英国で2000人の従業員を新たに雇用し、イギリスでの雇用者数を合計2万9500人以上に増やす計画だ。

7月3日、アマゾンはプレスリリースで英国で多岐に渡る分野の人材を雇用し、同社の英国本社やR&Dセンター、AWS部門のオペレーションを拡大すると宣言した。

英国のフィリップ・ハモンド財務相はこの動きを歓迎し、「政府はハイスキルで高賃金な雇用を生み出す企業をサポートする。新たな雇用の創出は英国民に恩恵をもたらす」と述べた。

しかし、現実はハモンドの思惑とは異なるようだ。アマゾンが新たに創出する雇用の大半は、低スキルで低賃金な仕事で、同社が「フルフィルメントセンター」と呼ぶ倉庫での作業になる。

同社は英国に17カ所の倉庫を構えており、イギリス全土に配送を行っている。新たに採用される2000人のうち、テクノロジー関連の職務に就く人はわずか170人程度という。

アマゾンの広報担当はフォーブスの取材に、正確な人数についての回答を避けたが、新規採用者の大半が「フルフィルメントのネットワーク」で勤務することは認めた。

アマゾンの倉庫での業務が、過酷なものであることは広く報じられている。英国のジャーナリストのジェームズ・ブラッドワースは、アマゾンの倉庫に潜入取材を行い、「アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した」という著書で現場の実態を告発した。

倉庫労働者の中には、ノルマをこなすためトイレ休憩もとれない人がいるという。ブラッドワースは著書の中で、「段ボールの横に置かれた黄色い液体が入ったペットボトルを見たことがある」と述べている。彼はタブロイド紙のザ・サンの取材に、彼が勤務したスタッフォードシャーの倉庫はまるで刑務所のようだったと述べた。

アマゾンは倉庫に、梱包やピッキングを自動化するロボットの導入を進めてはいるが、現状では作業の大半は、手作業に委ねられている。

2018年末時点で、アマゾンは世界で約65万人を雇用しており、そのうち8万3000人が欧州での雇用だった。同社は事業の性質上、グーグルやフェイスブックよりはるかに多い人員を雇用している。

2019年3月時点でのフェイスブックの、世界での雇用者数は3万7700人だった。同社は2018年末時点で、英国で2300人を雇用していたが、今年は3000人まで増加する見通しという。

編集=上田裕資

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