ほとんどの受講者の方が、子どもたちにプログラミングを教えたい、地域に貢献したいという思いを持って学ばれ、この4月から、小中学校のプログラミング講師サポート人材として活躍されています。
2015年から子どもたちに教えている鯖江市在住の徳橋忠雄さん(67才)は、「退職後、趣味の延長としてプログラミングをしていたが、同じことをしても子どもたちは反応が全然違う。嬉々としてプログラミングに取り組み、達成感を得た子どもたちの笑顔を見るのが楽しい」と語ります。
鯖江の小学校でプログラミングを教える徳橋さん。
講座継続のために受講料を取る
冒頭にも紹介した、総務省の事業である「地域におけるIoTの学び推進事業」は、国のお金で、教える人材(メンター)育成ができるものです。国のお金が地方におりてきて、人材育成を進めることができます。
とはいえ、そのお金を使って、東京の企業の人に講師として来てもらっても、お金がまた地方から東京に流れていくだけです。地方にまったく該当する人材がいなくて、最初だけ頼るのはいいと思いますが、そこでしっかりと「教える人」を育ててもらい、その後は地域内で完結できる体制をつくり、人材育成を継続することが重要です。
また、育成講座は継続して運営できるように、受講料を取ることも考えなければいけません。そうしないと、いつまでたっても税金頼りで自立できません。受講料を取ると、応募者が集まらないという声もまれに聞きますが、それは講座自体が、「参加したい」と思える内容ではないからではないでしょうか。どうやったら参加したいと思える講座になるのか、考えればよいのです。
日本の学校教育の素晴らしいのは、東京でも地方でも、「学校」というところで平等に学べる環境がある点です。しかし、その学校教育の現場が遅れています。全国に約2万ある小学校、約1万ある中学校に指導要領をしっかり浸透させるには、何年もかかるそうです。
今、時代の流れはとても早い。ITの分野はとくに早い。学校だけに任せておくのはもう不可能だと思います。学校と行政と民間が連携し、とくに民間にできることは積極的に担っていかないと、IT教育どんどん遅れていきます。
地域でIT人材が育てば、それを求めて企業がその地域に進出してくるかもしれません。また、地域で起業する若者も多く誕生するかもしれません。地域活性、地方創生に不可欠なのは、地域を担うメンターの育成です。それを地域内でできるようになれば、自ずと地域内の経済も活性化していくことでしょう。
連載:変革は地方から始まる!
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