英紙ガーディアンによると、英国ではこの手法を採用する小企業が増えている。同紙は、週4日勤務を現在先駆的に採用している中小企業をいくつか紹介している。生物医学研究を行う英慈善団体ウェルカム・トラストは、週4日勤務の導入を考えている最大の組織だ。同団体は現在、800人の従業員を対象として同手法を試験的に導入することを考えている。
こうした企業が従業員に提供する余暇を増やそうとしている理由は善意ではない。背景にあるのは、適切なワークライフバランスを確保することで従業員は最大のパフォーマンスを発揮するという考え方だ。つまり、家でも職場でも幸せな従業員は生産性が向上すると考えられている。
これは、一風変わったただの理想ではない。この手法が今後さらに主流になる可能性もある。英労働党は、著名な経済学者ロバート・スキデルスキーに週4日勤務の価値について調査を委託した。また、スコットランド国民党(SNP)も同じような議論を進めている。
学術的調査を通じ、週4日勤務に関する議論は加速するだろう。ドイツの労働経済学研究所(IZA)が2014年に発表した調査では、従業員の生産性は週35時間勤務した後、着実に下がることが示された。つまり、35時間以上従業員を働かせることは経済的視点から見て効率的ではないのだ。
勤務日数の削減を提唱する擁護者らは、週4日勤務を試験導入した複数の企業を例として挙げている。よく引用される企業の一つは、ニュージーランドを拠点とする金融サービス企業、パーペチュアル・ガーディアン(Perpetual Guardian)だ。同社は、240人の従業員を週4日勤務にしたところ、生産性が20%向上したと述べている。また、ガーディアンの報告で紹介された企業の間では、生産性が最大30%改善したとされる。
ここからは、週4日勤務を導入する企業は従業員に現在と同じ給料を支払いつつ、現在と同じ水準、あるいは今より大きな成果を得ることが可能であることが示唆されている。さらに、これには出勤日を減らすことによるオフィスの暖房費削減や育児支援関連費の削減など、経費の節約は考慮されていない。
また、週4日勤務によって生産性が向上するだけではなく、従業員はより健康的になり、ストレスも減ってより仕事に集中できるようになる可能性が高い。長時間勤務により精神的・身体的な健康問題が生じ、従業員の欠勤率が高まることは既に分かっていることだからだ。
週4日勤務は、在宅勤務やフリーランス、プロジェクトベースの働き方など、柔軟な働き方への移行とも合致しているように感じられる。いわゆるギグエコノミー(労働者が単発の仕事を受注することで成り立つ経済)の批判者らは、こうしたトレンドが労働者らのメリットにはならず、大企業がその利益を享受していると訴えている。そのバランスを是正する手段が週4日勤務の制度になるのではないだろうか?
私たちは長年の間、特に技術躍進を背景として労働時間が減少すると予測してきた。しかし特に英国では、これはいまだに実現していない。英国の労働者は、欧州の労働者と比べて顕著に労働時間が長いからだ。
それでも、最初から会社を立ち上げる起業家や比較的小さな会社を経営する起業家は、異なる手法を採用することができる。大企業よりもスタートアップの方が、週4日勤務を試験的に導入し、必要ならばその後元に戻すことは確実に楽なはずだ。そうすれば、小さな企業は週4日勤務を導入する時がきたのだと証明できるかもしれない。