英誌エコノミストの調査部門、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)がこのほど発表した世界各都市の生活費に関する調査結果によると、暮らしに最もお金がかかるのは、シンガポールとパリ、香港だった(1位タイ)。
トップ10に入ったのは、大半がアジアと欧米の都市だ。前回から引き続き10位までに名前が入った唯一の都市は、シンガポールだ。
米国の都市では、ニューヨークとロサンゼルスがトップ10に入った。それぞれ7位と10位でランク入りしている。これら2都市の生活費は、いずれも10位までに入っていなかった(39位だった)2013年以降、急増している。
主に外国で勤務する駐在員のために、各都市の生活費を把握したい多国籍企業のために実施されているこの調査では、ニューヨークの生活費を基準(100)としている。1位となった3都市の今回のスコアは、107だった。
また、米国の都市の中で前回から大きくランクを上げたのは、サンフランシスコ(37位から25位)、ヒューストン(41位から30位)、シアトル(46位から38位)、デトロイトとクリーブランド(75位から67位)だった。
なお、ニューヨークのトライベッカ地区とシンガポールのチャイナタウンにあるコンドミニアムの価格を比較してみると、トライベッカでより安値で購入できる可能性もあることが分かる。
例えば、チャイナタウンにある高級物件「Altex Tian」の面積102平方メートル、2ベッドルームの価格は、約203万ドル(約2億2580万円)。トライベッカにある同様の規模の物件「The Leonard」の2ベッドルーム、2バスルームの一室は、230万ドルとなっている。
世界全体では減少傾向
一方、世界の都市の生活費の平均は、全体としては減少傾向にある。それは、ラテンアメリカの都市とトルコの生活費が、その他の各都市における生活費の増加を上回る幅で減少しているためだ。
また、北米と南米の都市の生活費の差が拡大していることも、特に注目すべき点だ。ブラジルは2年続いたリセッション(景気後退)から抜け出したばかり。アルゼンチンのリセッションは現在も続いている。そして、ベネズエラは不況に陥ってすでに3年目に入っている。
160の商品・サービスを比較
EIUが発表するこのランキングは、世界133都市で調べた商品・サービスの価格の比較に基づくものだ。対象としている160項目には、食料品や衣料品、家庭用品のほか、家賃、公共交通機関の料金、水道光熱費、私立学校の学費、娯楽費、家事代行や庭師のサービスにかかる料金などが含まれている。いずれも大都市では一般的に利用されるものとなっている商品やサービスだ。
また、EIUが調査にあたって価格を調べる品目は、およそ5万に上るという。調査は毎年3月と9月に実施しており、中価格帯の商品を取り扱う店舗から専門店まで、それぞれが販売する主食からぜいたく品までの価格を調べている。