「光る目」を持つ不思議なクモの化石、1億年前の地層で発見

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1億1000年前の韓国では夜になると、暗闇のなかで無数のクモの目が不気味に光っていたようだ。

古生物学のジャーナル「Journal of Systematic Paleontology」に発表された論文によると、韓国の堆積層の頁岩から状態の良いクモの化石が発見された。骨も歯もないクモは通常、頁岩の中で化石化する前に分解されるため、これは極めて珍しいことだ。

このクモの特徴の中で、際立つのが「光る目」だ。このクモの目は、暗視ゴーグルのような役割を果たしていたと論文の執筆者は述べている。

化石が発見された地域では、商業施設の建設のための工事が行われており、その一環の発掘作業中に黒色頁岩の中からクモの化石が大量に発見された。

このクモたちは、湖に流されて分解が始まる前に何らかの理由で湖底に沈んだと見られる。生物が化石になるためには、バクテリア分解が始まらないうちに完全な状態で埋もれる必要がある。しかも、クモの体は柔らかいため、頁岩の中で化石になるということは極めて珍しい。

このクモには、目の中で光を反射させる「タペタム」と呼ばれる反射板が網膜の裏にあることが分かった。これにより夜間の少ない光をより効率的に吸収できる。目の光る動物といえば夜間に狩りを行うフクロウや、猫などが思い浮かぶが、これらも同様のタペタムを網膜の後ろに備えている。

今回発見されたクモは、現代のハエトリグモ (Lagonomegopidae)に似ている部分もあるという。タペタムの構造を持つクモは、現存種の中にもいくつかいるが、絶滅種の中でこの特性を持つクモが見つかったのは、今回が初めてという。

編集=上田裕資

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