これはスマートスピーカー市場を牽引する、グーグルやアマゾンにとっては良いニュースだ。2018年の世界のスマートスピーカー出荷台数は、ほぼ9000万台に達したが、グーグルとアマゾンの製品がその大半を占めている。
消費者がスマートスピーカーの音声広告に前向きであれば、グーグルやアマゾンは新たな収益機会を得られることになる。アドビのアナリストのColin Morrisは、次のように述べた。
「調査の結果、音声広告は他のフォーマットが取り逃がしていたオーディエンスにリーチできることが分かった。スマートスピーカーをいち早く暮らしに取り入れた、若い世代の人々などだ」
興味深いことに、スマートスピーカーの機能に満足していると回答した人はわずか54%だった。41%は「まぁまぁ」と答えたが、5%は「かなり不満」と回答していた。
しかし、スマートスピーカーよりも、スマホの音声アシスタントを好むと答えた人も、かなりの割合に及んでいた。アドビによると、47%の消費者がスマホの音声アシスタントを好むと回答し、48%は1日に1回か複数回利用すると答えていた。
これは世界のアンドロイド端末のOSを支配するグーグルにとっては、特に良いニュースだろう。また、北米や欧州でiPhoneの巨大な利用人口を持つアップルにとっても好ましい話だ。しかし、スマホ市場への参入に失敗したアマゾンにとっては、残念な報せだ。
「消費者の半数近くがスマートフォン上の音声アシスタントを気に入っていると述べた。モバイル端末は音声アシスタントの普及を促進する上で、強力なツールといえる」とMorrisは話した。
一方、スマートスピーカーの所有率に関しては男女間で大きな差がみられた。アドビによると、スマートスピーカー所有者の43%は男性で、女性は29%だった。背景には、プライバシーや利便性に対する、男女間の考え方の違いがあるとみられる。
しかし、ここで気になるのは、グーグルやアマゾンにとって良いニュースは、同時に消費者にとっても良いニュースといえるのかという疑問だ。これまで以上に、広告が暮らしに入り込んでくることは、筆者個人としては避けたいところだ。同じ思いを抱く人も多いだろう。
eMarketerの直近の調査では、42%の消費者が「広告がデバイスをまたいで自分を追いかけてくることを、煩わしく思う」と回答していた。