このナマズにまつわる伝承は、地震の直前にナマズが普段と違う行動をとることに基づいているとされている。しかし、背景はもっと複雑だという説もある。一部の地域では、ナマズは洪水や豪雨から人々を守る、川の神とされてきた。しかし、一方でこのナマズが巨大化し、大鯰という妖怪になると信じられてきたのだ。
ナマズ以外にも、日本では一部の魚類が災害の前兆を示す存在と考えられてきた。その一例とされるのが、水深200~1000メートルの深海に生息するリュウグウノツカイだ。全長4メートルほどに成長する巨大なこの魚は、地震や津波が差し迫っていることを人々に教えるために、竜王が差し向けると考えられてきた。
2月1日には富山湾の沖合で、相次いでリュウグウノツカイが定置網に引っかかっているのが見つかり、気がかりなニュースとして伝えられたばかりだ。
2011年の東日本大震災の1年前にも十数匹のリュウグウノツカイが見つかり、地震との関連を疑う記事が多数書かれた。米国でも2015年7月に、南カリフォルニア沖のサンタカタリナ島付近で、この魚が相次いで発見された。一部のメディアはサンアンドレアス断層の地震活動との関連を調べたが、特に目立った関連は見つからなかった。
通常は深海にいるリュウグウノツカイが浮上したり、死骸が漂着する理由について、生物学者たちは様々な説をあげてきた。海流の変化で海面付近に押し上げられてしまい、疲労から息絶える、などと言った説だ。
また、一部ではリュウグウノツカイが海底の亀裂から放出されるガスや、化学物質によって死ぬという説もある。しかし、この魚の行動と地震活動の間の科学的な関連性は、現在のところ確認されていない。