イスラエルのメディアGlobesは1月28日、サムスンがイスラエル企業の「Corephotonics(コアフォトニクス)」を1億6000万ドル(約175億円)で買収しようとしていると報じた。さらに別のメディアCalcalistは、匿名筋からこの交渉が既に成立済みである事を確認したと述べている。
サムスンのGalaxy S10シリーズは、インカメラがデュアル仕様で、背面カメラはトリプル仕様になるとみられている。S10は4カメラ仕様になるとの噂も流れたが、この情報は昨年末の時点で打ち消されていた。
サムスンはCorphotonicsを買収することで、アップルの端末を大幅に上回るカメラ性能を実現しようとしている。この技術の採用で、3カメラでも4カメラに匹敵するパフォーマンスが実現できるという。
テクノロジーに関心の高い読者なら、Corphotonicsという名前に見覚えがあるはずだ。Corphotonicsは2017年にアップルを特許侵害で訴えた企業だ。同社はアップルのiPhone7 PlusとiPhone8 Plusが搭載したデュアルカメラが、同社の4つの特許を侵害したとして訴えていた。
Corephotonicsは同じ年に、中国のOPPOと提携を結び、5倍の光学望遠レンズ搭載のスマホのプロトタイプを作成。その端末をスペインで開催されたモバイル・ワールド・コングレス(MWC)で発表していた。
このプロトタイプは製品化には至らなかったものの、Corephotonicsの技術でOPPOはその後、10倍の光学望遠レンズ搭載のスマホを開発し、今年のMWCで発表する見通しだ。
この2つのレンズはペリスコープ構造で設計され、レンズセットの横方向の配置と屈折を利用することで、スマホ本体の幅と厚みを削減することに成功している。OPPOは現在、欧州進出に注力しており、1月29日にはロンドンに旗艦店をオープンした。
サムスンはCorephotonicsの買収により、スマホ業界で最も先進的なカメラテクノロジーを手に入れ、アップルなどの競合と戦う上で有利なポジションに立てるかもしれない。