グーグルが開発のレーダー技術「Project Soli」が秘める巨大な可能性

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2002年に公開されたSF映画「マイノリティ・リポート」では、トム・クルーズが演じる主人公がコンピューターを使う際に、画面やキーボードを用いず、手のジェスチャーで操作を行っていた。この技術を現実にするのがグーグルの「Project Soli」と呼ばれる取り組みだ。

アメリカの連邦通信委員会(FCC)は1月1日、Project Soliのレーダーを用いたモーションセンサー技術に承認を与えた。Soliは1ミリメートル以下の指の動きをレーダーで検知する技術で、様々なジェスチャーをアプリのコマンドに変換する。

例えば親指と人差し指の先端を軽くタップした場合、ボタンを押すコマンドとして理解される。また、親指と人差し指の腹を擦り合わせる動作は、ダイヤルを回すコマンドになる。

Soliはレーダーを用いて動きを検知するため、微細な動きを3次元で捉えることができ、短時間で非常に正確な検知が可能だ。レーダーはデバイスの筐体を透過するため、様々な利用ケースが想定できる。

Soliのハードウェアは、消費電力を最低限に抑えた25ドル硬貨サイズの小さなチップセンサーと、アンテナで構成されている。このセンサーはスマートウォッチや自動運転車両、スマートフォンなどのあらゆるデバイスに組み込み可能だ。グーグルは既にこのセンサーのSDKを開発しており、外部の開発者が簡単にSoliのライブラリにアクセスできるプラットフォームを整備しようとしている。

グーグルは以前からSoliで用いるレーダーの認可をFCCに申請していたが、使用する電力レベルの問題で承認が遅れていた。その後の協議を経て、今回ようやく承認が下りた形だ。FCCは今回、Soliのレーダー技術が航空機内でも安全に利用可能であるとの判定を下した。

Soliのテクノロジーは今後のデジタル機器のインターフェイスを大きく革新するものだ。現代のスマホはスクリーンに指先でタッチして操作を行うが、それらは時代遅れのものになるかもしれない。また、マイノリティ・リポートで描かれたように、腕を空中に振り上げる大げさなジェスチャーは必要でなく、指先の動きだけでコマンドを送信できる点もメリットになりそうだ。

編集=上田裕資

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