世界の投資家が結集した「地球温暖化防止」への呼びかけ

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総額32兆ドルの資産を運用する415人の投資家が加入する団体が、政府は気候変動対策を加速させるべきだとの声明を発表した。

今回の声明「2018 Global Investor Statement to Governments on Climate Change」は、ポーランドのカトヴィツェで開催された「COP24」で、パリ協定への支持を呼びかける目的で出された。

団体に加入する投資家らは、各国政府に対しパリ協定に記載された方策の支持と早急な実行を求めている。気候変動への対策を怠ることは、2008年の金融危機の最大4倍にも及ぶ経済的損失を与えるという。彼らは以下の3項目を要求している。

・パリ協定に規定されている方策を早急に導入すること。
・再生可能エネルギーへの投資率を引き上げ、低炭素経済への移行を加速させること。これには炭素排出量への課税も含む。
・気候変動がビジネスに与える影響に関する財務報告の改善。

気温の上昇を産業革命以前と比べて2度以下に抑えるためには、各国が炭素排出量を大幅かつ早急に減らす必要がある。団体に加盟しているシュローダーは、気温が4度上昇すれば21世紀が終わるまでに23兆ドル(約2610兆円)の経済的損害が出るとしている。

気温上昇を2度以下に抑えることは、極めて困難になってきてはいるが不可能ではない。しかし、世界の二酸化炭素排出量は直近の3年間は安定していたものの、再び上昇し始めている。

各国政府や民間企業、投資家、そしてNGOが温室効果ガスの排出を早急に減らすべきだと呼び掛けているが、パリ協定の交渉において足を引っ張っている国が3か国ある。アメリカ、サウジアラビア、そしてロシアだ。

この3国はパリ協定に反対し、気候変動の原因が人間であるということを否定している。これらの国は原油とガスの産出量で世界トップ3であり、世界の炭化水素の排出量の40%以上を占めている。

多くの国々がパリ協定を批准し取り組みを進めるなか、原油やガスの産出に頼っている国々は、彼らの国の経済への影響を懸念しているのだ。

編集=上田裕資

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