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AT&Tは11月末、今年6月に買収したタイム・ワーナーのコンテンツを活用した、ストリーミングサイトを2019年の後半に始動するとアナウンスした。

タイム・ワーナーは買収後に企業名を「ワーナーメディア」に改称しており、同社はワーナーブラザーズやHBOなどのコンテンツを保有している。しかし、ここで気になるのは既にレッドオーシャン化が進んだストリーミング業界で、ワーナーメディアに勝ち目があるかどうかだ。

コンテンツのボリュームと知名度の点で、ワーナーメディアのライブラリは決して見劣りするものではない。「ワンダーウーマン」や「ハリー・ポッター」「ロード・オブ・ザ・リング」等の有名作品がそろっており、高年齢層を魅了するクラシック作品も充実している。さらに、多彩なTV番組が用意できる点も強みといえるだろう。

しかし、先行するネットフリックスは世界で1億4000万人の利用者を抱えており、そのうち約6000万人が米国のユーザーだ。また、Huluの場合はトータルで5000万人以上の米国ユーザーを抱えており、そのうち無料で楽しめる広告入りサービスの利用者が3000万人以上となっている(有料サービスの名称は「Hulu Plus」となっている)。

さらに気になるのが、ディズニーも独自のストリーミングサービスを2019年に開始することだ。ディズニーは11月にフォックスのコンテンツ部門を傘下に収めている。ワーナーメディアはディズニーと真っ向から勝負することになるのだ。

既に飽和状態にある市場に、後発で乗り込む企業が、苦戦を強いられるのは目に見えている。2015年にサービスを開始したHBO Nowは、3年半をかけて500万人程度の利用者しか獲得できていない。これはネットフリックスやHuluと比較すると、全く小さな規模にすぎない。

筆者の予測では、ワーナーメディアが初年度に獲得できる利用者数は、最大でも100万人程度にとどまるはずだ。

ワーナーメディアはHuluの株式の一部を保有している。それならば、コンテンツの配信はHuluに任せたほうが得策なのではないかという考えも浮かんでくる。既に十分なユーザーベースを築いているHuluへの投資を増大させるほうが、ネットフリックスなどの大手と戦う上では、有利に思える。

旅行業界では1990年代末期に、エクスペディアなどの予約サービスが台頭し、危機感を募らせた米国の航空会社は5社連合で旅行予約サイトのオービッツ(orbitz.com)を立ち上げた。しかし、そのオービッツも2015年にエクスペディアに買収された。

コンテンツホルダーらは、独自の配信プラットフォームの立ち上げに執着するべきではないというのが筆者の意見だ。かつて航空会社らが犯した過ちを、彼らが繰り返すべきではない。

編集=上田裕資

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