セコイア・チャイナは中国のVC業界に新たなスタンダードをもたらした。同社のチームは中国全土から、最も優れたテック領域のスタートアップを選び出す。セコイア・チャイナは今年IPOを行った14社に出資しているが、一切の株を手放していない。
その一例にあげられるのが、今年上場を果たした「美団点評(Meituan-Dianping)」だ。同社は急激に成長を遂げたが、依然として赤字を出し続けている。フードデリバリーから事業を開始した美団は、レストランの予約サービスや映画のチケット販売、旅行予約サービスなども開始し、3億5700万人の利用者を抱えている。
美団のプラットフォームには中国全土の510万社の企業が参加し、2017年の年間取扱高は525億ドル(約6兆円)に達した。同社のコア事業はフードデリバリーだが、この分野ではアリババ傘下のEle.me(ウーラマ)などの競合との戦いも激化している。
美団は2017年に27億ドルの損失を計上し、香港市場に上場を果たしたものの、株価は下落している。同社の競合の取締役は「美団のビジネスモデルは持続不可能だ」とも述べている。美団にはテンセントも出資し、同社の株式の20%を保有するが、彼らは今後の見通しをどう描いているのかという疑問も浮かぶ。
しかし、美団の株式の12%を保有するセコイア・チャイナは、当分の間、株を放出する気はないという。セコイア・チャイナの取締役のNeil Shenは、「美団への出資は、ここ10年の当社の決定のなかで最も重要なものの一つだ」と語る。
中国のEコマース分野はまだ成長の初期の段階にあり、美団は非常に長い時間をかけて、業界をリードする存在にのぼりつめるとセコイア・チャイナは考えている。