10月10日にはS&P500種株価指数が9月20日につけた最高値から5%下落、ナスダック総合株価指数は8月29日につけた最高値から8%値下がりしている。こうした状況について、非難されるべき対象は利上げを行った米連邦準備理事会(FRB)なのだろうか?
トランプはFRBが「狂ってしまった」と批判している。だが、FRBは利上げの計画を常に事前に明らかにしており、その実施が投資家を驚かせることはない。さらに、マクロ経済学に関する基礎的な知識を持つ投資家なら、労働市場のひっ迫と原油価格の上昇はインフレを引き起こし、FRBはそれを抑えるために利上げを行うものだと知っている。
問題は利上げではなく、トランプが課した制裁関税が経済成長に及ぼす壊滅的な影響だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどがすでに報じているとおり、米国は2500億ドル(約28兆円)分に相当する中国からの輸入品に制裁関税を課しており、さらに2570億ドル分を対象に追加する方針を示している。
米経済の成長を阻害
例えば、ある企業が売上高の伸び率と1株当たり利益(EPS)の目標を達成できなかったり、ガイダンス(業績予想)を引き下げたりした場合、その企業の株価は急落する。企業が決算報告の時期以外に具体的な数値を示すことなくガイダンスを下方修正したりすれば、その企業の将来には前例がないほどの不確実性があると判断されることになる。
トムソン・ロイターI/B/E/Sによれば、S&P 500指数のEPSは今年第3四半期、前年比21.4%上昇したと推計されており、今年通期では同23.1%の伸びとなることが見込まれている。一方、2019年の成長率は、10.3%にとどまると予想されている。