提案先は、サムスン電子トロント人工知能センターで責任者を務めるSven Dickinson教授が在職するトロント大学(カナダ)をはじめ、米国のマサチューセッツ工科大学、スタンフォード大、UCサンタバーバラ、中国の北京大学、復旦大学など。それら大学に対しサムスン電子は、ディープラーニング、3Dバッテリー、ハイブリッドシステム、5G通信、量子ドット、ヘルスケアテクノロジー、次世代コンピューティングなど、合計27項目の研究・開発テーマを提示した。
なお共同研究に着手する大学およびメンバーは、審査を通じて来月8月に発表される予定。選ばれた研究者は10万ドルの財政支援とともに、サムスン電子と最大3年間の共同研究を進める権利を付与される。
韓国メディアの取材に答えたサムスン電子関係者は、「一部の海外大学に共同研究を提案しているという報道は正しい(中略)仮に特定の大学がプロジェクトに選定されたとしても(詳細を)公開するかどうかは不明」と話している。
実際、サムスン電子側は今回の提案に関しては情報を公開していないが、早ければ9月から共同研究が始まるのではないかとの現地メディアの見通しもある。
同社は今年1月、ソウル大学、韓国科学技術院(KAIST)、浦項工科大学(POSTECH)、蔚山科学技術院(UNIST)などと提携し、「ニューラルプロセッシング研究センター」(NPRC)を開設している。サムスン総合技術院が主導する形で設立が用意されてきたNPRCでは、次世代半導体とも呼ばれるニューロモーフィックチップの開発を目指すとされている。
ここ数年、Galaxy Note7の発火騒動や、李在鎔副会長らの政治スキャンダルなど逆風のなかでも、好調な業績を維持しているサムスン電子。国内・海外の産学連携に注力する背景に、さらなる飛躍に向け、次世代技術だけではなく、世界有数の人材を確保しようという意図があるのは明白である。次の一手をどう打ってくるか注目したい。